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便秘や下痢

 便秘や下痢も多くの人を悩ます副作用です。腸の粘膜が抗がん薬のダメージを受けるのが原因です。加えて、副作用対策として処方される吐き気止めのせいで便秘になることもあります。そもそも吐き気があると、水分や食事を十分にとれず、便秘になりやすい状態にあります。

 便秘の場合は、必要に応じて下剤を使いながら、食物繊維の多い野菜や果物を食べる、腸の動きがよくなるように適度な運動をする、腹部をマッサージしたり、温めたりするなどの対策を。下痢の場合は、整腸薬や下痢止めが処方されます。

免疫力の低下、貧血、出血

 抗がん薬は血液を作る細胞にも作用するため、白血球や赤血球、血小板の減少を来すこともあります。

 白血球の一種である好中球が減少すると、病原菌を攻撃する免疫力が弱くなり、風邪や肺炎などの感染症にかかりやすくなります。手洗いやうがいなどで感染を予防しましょう。

 好中球が減少して発熱の症状が出る「発熱性好中球減少症」は、すぐに対処しないと命にかかわる副作用です。抗生物質や好中球を増やす薬のすみやかな投与が必要なので、すぐに受診を。

インフルエンザワクチンは推奨グレードB

 免疫力が低下しているということは、その状態でインフルエンザにかかってしまうと、重症化が心配です。また、治療のスケジュールにも影響が出てしまうかもしれません。

 日本の『乳癌診療ガイドライン』では、抗がん薬療法や分子標的療法を行う前なら2週間前までに、治療中ならば治療の日を避けて(できれば投薬後7日以降)、インフルエンザワクチンを接種することが望ましいとし、推奨グレードBに位置づけています。

 また、赤血球が減少すると貧血を生じ、血小板が減少すると出血しやすくなります。これらの症状が強い場合も治療が必要になることがあります。

心臓への影響

 アントラサイクリン系の抗がん薬(アドリアマイシン、エピルビシン)は、心臓に対する副作用がまれに出ます。「心臓がどきどきする」「息苦しくなる」「体にむくみが生じる」といった症状がある場合は、心臓への副作用、心機能障害の可能性があります。

 このような副作用は、抗がん薬の投与が終了後、5年以上経過してから起こることもあります。治療の終了後も、定期的に心機能検査を受けましょう。

神経への影響

 タキサン系抗がん薬のパクリタキセルでは、神経に対する副作用があります。投与を受けた20〜40%の患者さんで、「手や足のしびれ」「ピリピリ感」「刺すような痛み」「感覚の鈍化」などの末梢神経障害が見られます。

 同じタキサン系のドセタキセルにも同様の副作用はありますが、パクリタキセルより頻度が低く、症状も軽度とされます。どちらの薬も、投与を中止するとほとんどの場合で軽快します。

 しかし、副作用が残って、手足の感覚が鈍くなっている間は、やけどや転倒が心配なので、
・料理をするときは、ホルダー付きの鍋を利用する
・洗い物をするときは、手袋を着用する
・滑り止めの付いた靴下をはく
・浴室内には滑り止めの付いたマットを敷く

 日常生活では、こんな対策を行い、十分に注意してください。

手足症候群

 5-FU系のカペシタビン、テガフール・ギメラシル・オテラシル、フルオロウラシルなどの副作用として、手のひらや足の裏の刺すような痛み、感覚のまひ、腫れ、発赤、発疹などがあります。

 抗がん薬の治療期間中は、手足をよく使う作業は極力避けることがすすめられます。もしも腫れが生じた場合は、腫れた部分を冷やす、乾燥している場合は保湿クリームをたっぷり塗るなどのケアが必要です。

血管炎

 アントラサイクリン系の抗がん薬やビノレルビンは、血管に炎症を生じやすく、注射部位や点滴液を投与した血管に沿う部分が痛むことがあります。この副作用を血管痛といいます。血管が硬くなり、肘関節が動かしにくくなるような場合もあります。予防には、抗がん薬の投与当日は投与部位を温め、翌日は冷やすといい、とされています。

 また、抗がん薬の注射や点滴液が、血管外に漏れると皮膚障害を来すことがあります。点滴中に異常な痛みを感じたり、針の周囲が膨らんでくるなどの異変を感じたら、すぐに看護師を呼び、処置を受けましょう。

(2013年2月8日更新)