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 抗がん薬の治療では、吐き気や嘔吐、白血球や赤血球、血小板の減少、脱毛などの副作用が起こりやすくなります。

 これは、抗がん薬ががん細胞を死滅させる一方で、消化管の粘膜や骨髄、毛根部などにある増殖が活発な正常な細胞にも作用するためです。主な副作用と対処法を紹介します。

髪の毛が抜ける

 脱毛は、抗がん薬の治療で生じやすい代表的な副作用の一つです。抗がん薬の種類によって脱毛の発現率には差がありますが、アントラサイクリン系やタキサン系の抗がん薬を用いたら、必ず脱毛が起こると考えておいたほうがいいでしょう。通常は抗がん薬を開始してから2〜3週間で抜け始め、眉毛や体毛が抜けることもあります。

 抗がん薬の投与が終了すれば髪はまた生えてきて、約半年から1年後には元通りになります。

ウイッグや帽子を準備

 長髪の場合、抜けた髪を多く感じやすいので、抗がん薬の治療前にまずはショートヘアに変えてみましょう。抜け毛の量が少なく感じられ、精神的な負担が軽減されます。 

 もう一つ準備しておきたいのが、あなたによく似合うウイッグ(かつら)やつけ毛、バンダナ、帽子です。

爪の変形や変色

 特にドセタキセル(商品名タキソテール)の副作用としてよくみられるのが、爪の変形や変色です。

 一部の医療機関では、抗がん薬を投与するときに専用の冷却グローブを付けることで、この副作用を軽減する試みが行われています。冷やすことで、血流に乗って全身を巡る抗がん薬が、爪に届きにくくなるのです。

 同様の原理で、冷却キャップを頭にかぶって脱毛を予防するという試みも行われています。ただし、これらの副作用対策は保険適用外ということもあり、行える医療機関は限られます。

吐き気がする

 吐き気や嘔吐は、投与後24時間以内に出る「急性」、24時間後から4日目ぐらいまで続く「遅延性」、抗がん薬のことを考えただけで出る「予測性」の三つのタイプに分けられます。

 患者さんの中には、仕方がないと我慢する人も多いようですが、その後の抗がん薬療法を円滑に進めるためにも、治療開始時からの対策が重要です。

 お酒に弱い、乗り物酔いをしやすい、妊娠時につわりがひどかった、精神的な不安が強い──といった場合は、予想以上に強い吐き気を生じる可能性があります。このような人は、迷わず医師に相談し、前もって吐き気止め対策を強化してもらうようにしましょう。

ひどい口内炎

 抗がん薬の治療開始から7〜10日後に、ひどい口内炎ができることがあります。治療が終了すると2〜4週間で治るのが一般的ですが、その間、食事や水分がとれなくなれば体力や気力の低下につながります。

 また、痛みから口腔ケアが不十分になると、症状がさらに悪化するという悪循環に。口の中を清潔に保つことが大切です。がんの治療中は、口の中が乾燥しやすく、デリケートな状態です。歯ブラシは軟らかめを、歯磨き剤は発泡剤の入っていないものを使いましょう。

 しみるなら、毛束の小さいワンタフトブラシやスポンジブラシで汚れを落とします。吐き気がするときは、朝・昼・夜・就寝前の1日4回以上、うがいをするだけでもかまいません。

口腔ケアとこまめな水分補給を

 吐き気や嘔吐の影響で食事がとれない場合でも、口腔ケアは大切です。唾液の分泌量が少なくなることで口の中の細菌が増え、口内炎の発症や悪化につながりやすいからです。粘膜の乾燥と、引き続いて起こる炎症を防ぐには、1日1・5〜2Lの水分摂取も有効です。普通の水のほか、スープや味噌汁で補ってもいいでしょう。カフェイン入りの飲料やアルコール類は、脱水を促すので禁物です。

 胃炎、胃潰瘍の治療薬であるレバミピドの服用は、口内炎の予防や症状の軽減に役立つという報告もあります。

味覚障害

 抗がん薬の副作用で口の中が乾燥していると、食事をしても味の成分が味蕾(みらい)(味の感覚器)にうまく運ばれず、味が分かりにくくなります。そんなときは、うがいをして口の中を潤った状態にしておきましょう。味覚のトラブルが予防できます。

 塩味やしょうゆ味を苦く感じる、金属のような味がする場合は、だしを利かせたり、ゴマの風味を生かしたりするなどの工夫で塩分を控えめに。味を感じにくい場合は、少し濃いめの味つけにして、酢の物や汁物を多くするのがポイントです。

 また、通常の食事だけでは栄養が不足する場合、液体やゼリータイプの栄養補助食品を加えてみるのもよいでしょう。医師の処方せんで出される「濃厚流動食」もあります。医師や栄養士に相談を。

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