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 放射線療法を開始して3〜4週間後、放射線があたった部位の皮膚が、日焼けしたように赤くなります。これは放射線による軽度の皮膚炎で、ほとんどの患者さんが経験します。皮膚が弱くなっているので、体を洗うときは、強くこすりすぎないように注意しましょう。

 皮膚炎は、放射線療法終了後1〜2週間で軽快します。皮膚への色素沈着、乳房が硬くなる、乳房痛などの症状が出ることもありますが、これらも一時的です。皮膚への色素沈着は1〜2年程度で消えますし、硬くなった乳房も3〜4年で元の柔らかさに戻ります。

数カ月たってから出現する副作用もある

 確率は低いながら、放射線療法を終了した後、数カ月から数年後に出現する副作用(晩期障害)もあります。乳房温存術に比べて広範囲に放射線を照射する乳房切除術後照射では、起こる可能性がやや高いと考えられています。乳房以外の臓器にまで放射線があたることも原因の一つです。

 例えば、温存術後の照射の場合、肺炎は100人に1人の頻度で、治療後数カ月以内に生じます。せきや微熱が長く続く場合は、放射線療法による副作用を疑ってください。副作用による肺炎は、通常の肺炎とは違った治療が必要になるので、放射線療法を受けた医療機関の受診がおすすめです。

 また、リンパ節郭清を伴う手術を行った人では、放射線療法によるリンパ管へのダメージが加わることで、リンパ浮腫(むくみ)のリスクが若干高くなることも知られています。リンパ浮腫の自覚症状と対処法については、「リンパ浮腫の予防と治療
」をご覧ください。

心臓への副作用や2次がんのリスクは低い

 かつては、放射線が心臓にまであたるせいで、心筋梗塞が誘発されるという報告もありました。1970 〜80年代の放射線照射装置では、照射範囲の厳密なコントロールがうまくいかず、その影響からこのような副作用が出たと考えられています。現在の装置は、高精度に照射部位をコントロールできるように改良されているので、心臓への副作用のリスクは、ほとんどありません。

 また、放射線自体が別のがんを誘発するのではないかと、心配する人もいます。治療後に別の部位にがんができることを2次がんと呼びますが、放射線療法によって2次がんになるリスクは1%程度にすぎません。放射線療法によるメリットのほうが、2次がんのリスクを上回ります。

この記事の監修
白石 憲史郎さん
しらいし・けんしろう/東京大学医学部附属病院放射線科助教。1997年東京大学医学部卒業。2006年同大学院医学系研究科修了。東京大学医学部附属病院、都立駒込病院を経て2006年から現職。専門は放射線腫瘍学、高精度放射線治療。乳がん・前立腺がんの放射線治療経験が豊富。

(2013年2月8日更新)