乳がん百科TOPページ

 リンパ節郭清を行った場合は、肩や腕が動かしにくくなるのを防ぐために、早期からのリハビリテーションがすすめられます。リンパ液の流れが悪くなるのに加え、傷のつっぱりが気になって肩や腕を動かさないでいると、肩関節の動きが制限される「拘縮」が起きることがあるからです。

 術後何日目から行うべきかについては、手術の翌日くらいから行うほうがいいとする考え方と、手術後1週間くらいたってからのほうがいいという考え方があるようです。いずれにしても、傷の状態や体調の回復にあわせて、理学療法士や看護師の指導の下、軽い動作のリハビリテーションから始めます。

 退院後に行うリハビリテーションの方法については、「乳がん.jp」のサイト内にある「乳がん手術後のリハビリ体操」の動画が参考になります。

乳がん患者さんのための情報サイト「乳がん.jp」(http://www.nyugan.jp/)。運営はアストラゼネカ。術後に行いたいリハビリ体操について、動画で詳しく紹介している。左はトップ画面、右は体操の画面

 センチネルリンパ節生検のみですんだ場合、基本的にリハビリテーションは必要とされません。ただしセンチネルリンパ節生検のみで、それ以上の郭清を行っていない人でも、約3割がリンパ浮腫を経験したという報告もあります。リハビリテーションの動作を日常的に心がけたほうがいいでしょう。併せて、「リンパ浮腫の予防と治療」の「リンパ浮腫予防のために日常的にできること」も参考にしてください。

痛みの症状は徐々に緩和

 このほかの手術後の副作用としては、「術後の痛み」があります。多くの場合は数カ月で和らぎますが、日常生活に支障を来す痛みが継続するときは、我慢しないで麻酔科やペインクリニックに相談を。

術後のリハビリでリンパ浮腫のリスクが約4分の1に

 リンパ節切除を伴う乳がんの治療を受けた女性が、退院直後から3週間のリハビリテーションを受けることによって、術後1年間のリンパ浮腫の発症リスクが約4分の1になるという研究成果がBritish Medical Journal電子版で2010年1月12日に報告されました。

 スペインのPrincipe de Asturias病院で行われた比較試験で、対象となった患者さんは120人。退院後3〜5日の時点で、リハビリテーションとリンパ浮腫予防のための教育を行う群(リハビリ群)と、教育だけを行う群(対照群)に無作為に分け、それぞれ週3回、3週間継続して行いました。リハビリ群には、リンパドレナージや肩周囲のストレッチ、運動訓練などを行い、自宅でもストレッチと運動を行うように指示しました。

 その結果、術後12カ月追跡できた116人のうち18人(16%)がリンパ浮腫と診断されましたが、リハビリ群(59人)では7%(4人)、対照群(57人)では25%(14人)。リハビリを行うと、リンパ浮腫のリスクを約4分の1に減らせるという結果が出ました。

(2011年12月8日更新)