こんにちは、Cadetto.jp管理人の増谷です。今回は、「東の羽生、西の村山」と羽生善治氏と並び称された棋士、村山聖氏が生きた29年間を描いた映画「聖の青春」をご紹介します。

(c)2016「聖の青春」製作委員会

 広島県出身の村山は、5歳でネフローゼ症候群と診断され、入退院を繰り返す生活を送っていました。入院中のある日、退屈しのぎにと父が買ってきた将棋に興味を持ち、次第に没頭していきます。13歳で大阪に行って奨励会に入り、15歳で森信雄氏に弟子入り。人生の全てを懸けて将棋に打ち込みます。A級昇級を目指す過程で、対局後は必ず体調を崩して寝込む村山。主治医に身体を休めろと厳しく叱られますが、鬼気迫る執念で勝ち続け、26歳でA級八段となります。

 100人に1人の天才と言われる羽生との初対局から、上京、仲間との出会い、そして前人未踏のタイトル七冠を達成した羽生へのライバル心と憧れ、そして対局――。本作は、最期の4年にフォーカスします。膀胱癌が見つかり、「このまま将棋を指し続けると死ぬ」と医師に忠告されても、「麻酔で脳の回転が鈍るのではないか」と危惧する村山は、手術をせずに将棋を指し続けようとします。その後、周囲の説得を受け、「生き延びるためではなく、再び戦うために」手術を受けることを決めた村山。もう少しで夢の名人位に手が届くという29歳の夏、進行性膀胱癌で亡くなります。辞世の言葉は、「8六歩、同歩、8五歩…」「2七銀」。最後まで名人への道を諦めませんでした。



 村山聖を演じるのは、原作を読み、映画化を聞きつけて自ら志願した松山ケンイチ。「村山役をやるに当たって、精神面、肉体面ともに松山君自身が当たり前のアプローチとして認識してくれていた。肉体と精神の変化を通して魂が乗り移っていたような迫力を感じた」と本作監督に語らせる役作りを行っています。村山の最大のライバルで、松山が本作の“ヒロイン”と称する羽生善治には、羽生の熱狂的ファンだという東出昌大。「どうしてもやりたい。自分以外の人にやってほしくない」とまで語ったそうです。村山を支える師匠の森信雄をリリー・フランキー、「健康な身体に産んであげられなかった」と自分を責める母、村山トミコを竹下景子が演じます。そのほか、染谷将太、安田顕、柄本時生らが弟弟子や先輩、仲間として脇を固めます。

 原作は、日本将棋連盟で「将棋世界」編集長などを務め、生前の村山とも交流があった大崎善生の同名小説「聖の青春」(角川文庫/講談社文庫)。映画「ひゃくはち」「宇宙兄弟」の森義隆が監督を務めます。映画化の企画が動き始めた当時、森監督は村山が亡くなった年齢である29歳でした。「監督を引き受けた最大の理由は、村山が29歳で亡くなったことなんです。当時、自分と同じ年代の友人が突然亡くなって、その事実をなかなか受け止めきれなかった。だから、29歳で死ぬことの無念という一点を、映画を通じて探求してみたかったんです」と話す森監督。映画を通して「どう生きるか、どう死ぬか」を考えさせられる作品です。

(c)2016「聖の青春」製作委員会

『聖の青春』
11月19日(土)全国公開
(c)2016「聖の青春」製作委員会
配給:KADOKAWA

「Cadetto.jp」の新着記事は、Cadetto.jpのFacebookページTwitterでも紹介しています。Facebook、Twitterから最新記事をチェックしてください。また、Cadetto.jpへの感想やご意見などは、管理人増谷ができる限りお答えしますので、ぜひFacebookページにお寄せください。