こんにちは、Cadetto.jp管理人の増谷です。10月15日、日本救急医学会主催の「CPR心肺蘇生)選手権大会全国決勝戦」が開催されました。全国の医学部生がCPRの技術を競うこの大会。前年度は帝京大学チームが圧倒的な差をつけて優勝しています。今年はその帝京大学を破るべく、北海道から九州・沖縄まで28医学部のチームが地区予選に参戦し、14チームが決勝戦で火花を散らしました。

 決戦の地となったのは、慶応義塾大学医学部がある信濃町キャンパスです。冒頭、日本救急医学会代表理事の行岡哲男氏が、「目の前にいる患者を助けるのは当たり前。今後は地域の中での医療を知り、考えていかなければならない。各チームは、単にCPRの技能を向上させるだけでなく、地域でのCPR指導に参加していってほしい」と挨拶。選手宣誓や各出場チームの決意表明(自己紹介?)をへて、試合開始となりました。

 自分が引いたくじの番号で、CPRを行うブースが決まります。ブースは、成人の心肺蘇生訓練用人形があるAブースとBブース(ブースごとに人形の硬さが異なる)、そして小児の心肺蘇生訓練用人形があるCブースの3つ。AブースとBブースは3人1組、Cブースは2人1組で、それぞれ10分間、胸骨圧迫とバックバルブマスク(BVM)を用いた人工呼吸、さらに開始3分後に手渡される自動体外式除細動器(AED)を用いて、CPRを行います。胸骨圧迫は、新ガイドラインに沿った5cm以上6cm以下の深度を目指して押しまくります(関連記事:蘇生ガイドライン改訂のポイントは?)。

胸骨圧迫の深度と1回換気量は、審査員の見るモニターに表示される。

 採点は減点方式ではなく加点方式。レールダル社のシミュレーターの点数(100点満点)に加え、AED使用時に正しいタイミングで胸骨圧迫や人工呼吸を中止できていたかといった加点ポイントがあります。総合優勝は、3ブースのチーム合計点数で競います。

 その結果、成人CPR(specific)部門で最も良い成績を収めたのは、弘前大学(96.75点)でした。続いて、2位に宮崎大学(96.41点)、3位に近畿大学(95.95点)が入りました。ここで3位だった近畿大学は、次の成人CPR(standard)部門では95.7点で1位。2位に東京慈恵会医科大学(94.8点)、3位に大阪医科大学(94.78点)となりました。

「短命県の汚名を返上したい」と意気込んで決勝戦に臨んだ弘前大学(左)と、乳児CPR部門で同率1位となった東京慈恵会医科大学。

 乳児CPR部門は、同率3位が2校。銘菓「かんざし」を持参した高知大学と、前回覇者の帝京大学(ともに100点)でした。同部門は、1位も同率で2校。大喜利を交えた自己紹介で開会式を盛り上げた東京慈恵会医科大学と、島根大学がともに102点と、100点を超える点数を記録してランクインしました。

 最後に、気になる総合順位が発表されます。決勝戦を制したのは、289.61点という高得点を叩き出した島根大学となりました。次いで、288.65点で帝京大学。3位に、287.34点で東京慈恵会医科大学が入りました。

総合優勝した島根大学のチーム。

 総合優勝チームには、副賞として10万円が授与されます。使い道は自由ですが、「いずれかの地域の救急科専門医指定施設を見学し、判子をもらってくる」という但し書きが付くのが特徴。「見学さえしてくれれば、後は何に使っても自由。交通費にしてもいいし、宿泊費用にしてもいい。1人で行っても5人で行っても自由」(行岡氏)。救急救命センターの見学については、日本救急医学会からの紹介などサポートを受けられます。

 前年度優勝校である帝京大学のチームメンバーはこの副賞で、全国に先駆けてドクターヘリを導入した日本医科大学千葉北総病院や、地域医療の中枢を担う佐久総合病院佐久医療センター(長野県佐久市)、自己完結型救命救急センターとして名高い大阪府済生会千里病院千里救命救急センター(大阪府吹田市)などを見学したそう。日本救急医学会の後押しがあることで、「交通費の心配がいらない」「他大学の見学もしやすかった」など、大変好評でした。

 日本救急医学会学生・研修医部会設置運用特別委員会委員長の川本英嗣氏は、「心肺停止の4分の1程度は一般市民が目撃している。そこで心臓マッサージをしてくれる市民は以前よりも増えてはいるが、まだ半数程度で、誰かが広めていかなければならない。救急医や救急救命士は休暇を使って啓発活動をしてきたが、医学生のうちから同じような活動をするグループがある。これは非常に価値が高いことであり、ぜひ我々も皆さんをサポートしたい。こういう活動をしたいという要望があれば、できる範囲でサポートしていきたい」と強調しました。

総合CPR部門 順位

   1位 島根大学         8位 久留米大学
   2位 帝京大学         9位 三重大学
   3位 東京慈恵会医科大学    10位 慶應義塾大学
   4位 高知大学         11位 岐阜大学
   5位 大阪医科大学       12位 千葉大学
   6位 宮崎大学         13位 近畿大学 
   7位 弘前大学         14位 昭和大学

 CPR選手権大会に関する情報は、毎年7月頃に日本救急医学会のウェブサイトで確認できます。医学部生の皆さんは、地域のCPR力No.1の名誉を目指し、参加してみてはいかがでしょうか。

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