――良性と悪性の中間病変である「境界悪性卵巣腫瘍」だったということが、全身麻酔下の手術中に判明しました。麻酔が覚めてからそれを聞いて、どう思いましたか?

 4時間ほどの手術で、私から両卵巣と子宮、大網が失われました。手術前のX線画像診断では、「浸潤具合や、いわゆる“顔つき”から、ほぼ悪性」と説明されていて、「境界悪性」という言葉は聞いたこともありませんでした。

 もし手術に入る前に境界悪性の可能性を聞いていたら、「その場合、卵巣は残せるんですか?」という話ができたと思います。「境界悪性」だったと聞いてから、私はインターネットで「境界悪性だったけど卵巣を残せて、妊娠できたケース」を探してしまったし、そういう探し方をしたから当然かもしれませんが、無事出産されている方を見つけ出してしまいました。

 一応、主治医に聞いてみたら「お腹を開けてみたら、卵巣は残せる状態ではなく、悪性でも境界悪性でも卵巣は取るしかなかった」とは言われました。でも、「今となっては、そう言うしかないよね…」という思いは消えず、いまいち納得しきれませんでした。

 悪性の話しかされなかったのは、悪性の可能性がかなり高かったことと、医師はどちらかというと最悪のことを想定して説明されるからだと思います。先生は患者の命が最優先だと考えると思いますが、患者にとっては卵巣を残すことが生きる希望につながるかもしれません。広い意味では、こうした希望は患者の命の一部とも言えるのではないでしょうか。1%でも悪性ではない可能性があるなら話しておいてほしかったと思っています。また、卵巣はお腹を開けてみないと分からない臓器だということですが、技術の発展でもっと術前に分かることが増えるといいと思っています。

婦人科系の病気への誤解や偏見をなくしたい

――その後、自ら疾患名を世間に公表しました。どのような反応があったのでしょうか。

 卵巣癌の疑いが出てきた2013年2月から、体調不良という理由で休業していました。疾患名を発表するかどうかは、とても悩みました。境界悪性卵巣腫瘍を正確に伝えるのはとても難しいけれど、心配してくれるファンの方に嘘はつきたくない。卵巣の病気が見つかりにくいことは自分自身がいやというほど体験しているので、疾患名を公表することで周知され、自分と同じ思いをする女性が少しでも減ってくれれば…という思いもあり、その年の6月にTwitterで公表しました。

 公表後は、ファンの方、同じく闘病中の方、闘病を支えた家族の方など、想像以上に多くの方々から応援の声をいただき、とても励まされました。一方ネットでは、セクシー女優という職業と結びつけ、「セックスのしすぎで卵巣の病気になった」「自業自得」といった書き込みもありました。子宮頸癌や子宮癌と誤認している人もいました。婦人科系の病気をひとくくりにして誤解したり、さらには偏見と結びつける人がいることは、とても悲しいことです。

 セックスと卵巣腫瘍に因果関係はありません。私たちの仕事のことや、病気のことを知らないから偏見が生まれる。セクシー女優という職業、そして婦人科系の疾患について、きちんと理解してほしいと願っています。


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