――患者さんが、自分の疾患について納得して、医師を信頼して自分の治療を任せたいと思うのは当然ですよね。そういった、患者さんへの説明に力を入れている医療機関も出てきてはいますが。

 対応される先生方も大変だろうとは思います。今はインターネットにもたくさんの情報がありますよね。ネットの情報を過信した患者さんが、「私はこの治療しか受けたくない!」といわれて困るケースもあるでしょうし。

 私も、CT検査の結果が出るまでの1週間、一生懸命ネットで情報を探しました。子宮内膜症がどんなものなのか、どんな手術をするのか、手術するならどの病院がいいのか……。さらに、「腹水が溜まっている」と総合診療科で言われていたので、「腹部膨満感 卵巣 腹水」で検索してみたりしました。その結果、出てきたのは「卵巣癌」という言葉。調べれば調べるほど、子宮内膜症よりも卵巣癌の方が自分の症状に当てはまっていると感じました。

 その後、CT検査の結果が出ました。まず、「画像に白い影がある」と言われ、「卵巣にあまり良くない腫瘍が写っています。他の先生にも見てもらったところ、10人が見たら10人が悪性だと疑う、という答えでした。でも、お腹を開けて見るまでは、はっきりとは分かりません」と言われました。

 うすうす卵巣癌を疑っていただけに、「あまり良くない腫瘍」と言われたとき、「私は卵巣癌なんだ」と確信しました。それからは、卵巣癌の情報を検索して、しらみつぶしに読む生活を送っていました。

卵巣や子宮を失うだけでなく、人工肛門になるかもしれない…衝撃の事実を受け止め続ける毎日

――「卵巣癌」を調べて、どんなことが分かりましたか?

 どの情報も、基本的には同じことが書いてあります。それでも少しの差分を探したり、卵巣の手術の「名医」と言われる医師を検索したりしました。調べるにつれ、卵巣癌って、すごく予後が悪いことも分かりました。

 さらにMRI検査の結果、悪性の腫瘍が直腸まで広がっている可能性があること。手術をしてみないと分からないけれど、浸潤の程度によっては両卵巣や子宮だけでなく、直腸も切らなければならないと。その場合、人工肛門という選択をせざるを得なくなる可能性があることを説明されました。初めて聞く「人工肛門」という単語。日々、衝撃的な事実を受け止める作業をしているような気持ちでした。手術や抗癌剤のことも調べたけど、全く現実味がありませんでした。

手術後は、1日も早く回復したいと考え、リハビリのためにも積極的に歩いた。起き上がって歩くことすら想像以上のつらさだった。(写真提供:麻美氏)

 少しでも気持ちを切り替えたくて、仕事に没頭しようともしました。今思えば、必死に仕事に逃げようとしていたんです。そんなとき、番組の総合演出の方に「今のあなたの一番の仕事は、病気を治すことです」と言われ、初めて目が覚めたような気持ちになりました。また、知り合いの医師とご飯を食べていたとき、どんどん最悪の事態ばかり考えてしまう私に「何かが起きてから、1つひとつ考えていけばいいんじゃないかな」と言われたことで、気持ちがすっきりしました。

――病気に立ち向かう覚悟を決められたんですね。

 はい。それでもまだ、信じられない、誤診なんじゃないかという思いは残っていて、いくつもセカンドオピニオンをもらいに行きました。実は、診断後に5カ所行った医療機関のうち、初めの2カ所は診断がまだついていない状態を装って行きました。でも、両方で同じようなことを言われたので、残りの3カ所は診断後のセカンドオピニオンとして行きました。セカンドオピニオンを受けに来たことを伝えた場合は、図を書きながら分かりやすく説明してくれたりして、とても良かったです。

 特に聞きたかったのは、「人工肛門は回避できないのか」ということ。でも、どこに行っても「開腹してみないと分からない」という答えでした。また、両卵巣を摘出すると説明されていたため、「どうにかして卵巣を残すことはできないのか」ということも聞きましたが、「X線画像を見る限り、諦めていただくしかない」という答えばかりでした。手術は免れないということが分かり、手術の意志を固めて、告知を受けた病院で3週間後に手術することになりました。そして、術中迅速病理診断で良性腫瘍と悪性腫瘍の中間的な組織像を示す「境界悪性卵巣腫瘍」の疑いが強まり、その後確定しました。