こんにちは、Cadetto.jp管理人の増谷です。みなさんは、2017年度から始まる予定の新専門医制度について、どんな印象を持っているでしょうか。日経メディカルOnlineが行った調査では、66%の医師が「開始時期を延ばしても構わないから、開始前に問題点を十分に議論し解決策を講じるべき」と考えていることが分かっています(関連記事)。

新専門医制度への期待と要望を語る、順天堂大附属順天堂医院の砂山勉氏(2年目初期臨床研修医)。

 先日東京で開催された第113回日本内科学会総会・講演会でも、新・内科専門医制度に関するセッションが行われました(関連記事:新専門医制度、「7月には専攻医登録を開始」)。

 新専門医制度によって、内科の専門医制度は大幅に変わるとされています(関連記事:新専門医制度 15の疑問【内科専門医】)。そこで、新しいプログラムで研修を受ける世代を代表し、順天堂大附属順天堂医院の砂山勉氏(初期臨床研修医2年目)が、新専門医制度への期待と要望を語りました。今回は、その内容をご紹介します。

 砂山氏はまず、新プログラムの1期生となる予定の年次の初期臨床研修医30人を対象に行ったアンケートの結果を発表。「新専門医制度を理解していますか?」という質問に対して、「理解していない」が53%、「どちらかといえば理解していない」が23%。合わせて76%が「理解していない」と答えました。次に、「新専門医制度に賛成ですか?」と聞いたところ、「賛成」「どちらかと言えば賛成」を合わせて6%。「反対」「どちらかと言えば反対」が52%を占めました。

 反対する理由として挙げられていたのは、「取得に必要なローテーション期間が長くなる」「制度の整備が遅れている」「理念が先行し現場は混乱している」「研究もしたい」といった声でした。

 一方で、「新専門医を取得しますか?」という問いに対しては、69%が「する」、10%が「どちらかと言えばする」と回答しており、8割近くが(仕方なく?)取得するつもりということも分かりました。

 そこで、研修プログラムに求めるものを聞いてみると、専門研修施設群が構築される性格上、「地域偏在や施設間での専攻医の処遇、社会保障の標準化など、経済面や労働環境などへの懸念が最も多い」と砂山氏。現実的な部分の保障に言及すると、会場からも拍手が起こりました。

 新・内科専門研修プログラムについて、砂山氏は、「研修目標と達成度が明確化されているのは良いが、初期臨床研修と基本領域の後期臨床研修の違いが分からず、2年間がもったいないと感じることもある」と指摘(図1)。また、「後期研修でも臨床力やジェネラリティを重視されるプログラムになっているようだが、サブスペシャリティ領域の研究と両立はできるのか」と心配する人もいると紹介しました。

図1●新・内科専門医制度の受験資格(出典:日本内科学会「新しい内科専門医の研修に関する捉え方」(2014年12月24日版))

 さらに、「研修手帳」などを用いて専攻医と指導医の相互評価がなされたり、メディカルスタッフによって専攻医が評価されるといった点を評価する一方で、設定されている症例数の根拠については疑問を呈しました。

 また、内科学会が新・内科専門医の医師像として「総合的診療能力を有する総合内科医」を挙げていることから、砂山氏は「総合診療専門医との違いが不明瞭で混乱している」とも言います(関連記事:総合診療専門医って内科専門医と何が違うの)。

 最後に、「新専門医制度の問題は、各医療機関や一部に限られたことではないのは明らか。受け手は我々若手医師だ。もっと情報を公開し、経済面や労働環境の保障を確保し、キャリアパスに関する様々な希望に配慮してほしい」と要望。「完璧なプログラムを最初から作るのは困難だと思うが、少しでも良いプログラムとするため、厚生労働省を中心として日本専門医機構、日本内科学会、専門研修施設群は三位一体で取り組んでほしい」(砂山氏)と訴えました。

 その上で、新・内科専門医制度に対し(1)初期臨床研修とシームレスな後期研修プログラムの作成、(2)サブスペシャリティ領域との垣根を作らずに、ジェネラリティとサブスペシャリティの調和を保ちながら研修できるプログラム、(3)地域医療における総合内科診療医としての保障とインセンティブの提示、の3つを提案しました。

 来年4月に、本当に開始することはできるのでしょうか。みなさんも、新専門医制度に関するお考えをお寄せください。

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