みなさんこんにちは、Cadetto.jp管理人の増谷です。近年の訪日外国人客増加の中、宗教上特別な配慮が必要となるイスラム教徒の訪日外国人も増加しているとみられています。こうしたイスラム教徒に対し、医療機関はどのような配慮が必要なのでしょうか。今回は、国立国際医療研究センター病院で2月16日に開催された、外国人医療実践講座の様子をお伝えします。

まず知っておきたい「ハラル」と「ハラム」
 登壇者の1人である国立国際医療研究センター国際診療部の二見茜氏は、イスラム教徒の患者さんの看護のために知っておきたいことを紹介しました。

国立国際医療研究センター国際診療部の二見茜氏

 まず知っておかなければならないのは、「ハラル」と「ハラム」という言葉。ハラルとは、イスラム教の教えで許された物や行為という意味のアラビア語です。反対に、ハラムは宗教上許されていない物や行為のことを指します。ハラムには、例えば豚肉を食べることや飲酒、賭博、婚前交渉などが含まれます。戒律をどこまで守るかは個人差があるとのことですが、基本的には「ハラムなもの、ハラルなのかハラムなのか判断できないものは避けるべき」と言います。

 豚は、エキスであっても口にすることを許されません。戒律を厳格に守る人の場合、肌に触れることも嫌がる場合もあるそう。薬剤のカプセルの皮膜や化粧品に豚由来のコラーゲンが含まれている場合もあり、注意が必要です。

 アルコールについても、医療処置でアルコール消毒をする際には、あらかじめ患者に使用の可否を確認。拒否する場合はノンアルコールの消毒をしているといいます。

入院食はハラルの特別食で対応
 国立国際医療研究センター病院では、豚肉やアルコールを排除した特別食を提供する用意をしています。国立国際医療研究センター診療運営管理部門栄養管理室長の河野公子氏によれば、入院受付時に患者本人や家族が記入する質問票に、アレルギーなどと同様に宗教上の配慮を尋ねる項目を設置。調理中も、「特別食専用の調理器具を用いたり、専用のものがない場合は一般の入院食を調理する前に使用したりして混入を避けている」と河野氏は言います。そうして調理された特別食は、トレーの色を一般の入院食と分けて誤配膳を防止しています。

 日本の調味料には、醤油や味噌、みりんなど、アルコールを用いていたり発酵させて製造するものなどが多く存在します。ただ、こうした調味料の場合でも、専門家がハラルであることを保証するハラル認証を取得した製品を選べば安心して使えるそう。河野氏は、「特別食では、日本酒やみりんは使わないようにしながらも、醤油や味噌といった調味料はハラル認証食品を用いてメニューを拡大した」と言います。