今回のヘルスケアハッカソンで優勝を手にしたのは、AEDをネットワーク化することを考えたチームでした。このチームが問題視したのは、いざというときにAEDがどこにあるか分かりにくいところ。日本救急医療財団などがAEDの設置場所を検索できるサイトを作成してはいますが、チームメンバーが実際に探してみたところ、発見してAEDがある場所まで行き、戻ってくるまでに10分を要しました。「救急車が現場に到着するまでに要する時間は約8分といわれている。これではAEDの意義が高まらない」(チームメンバー)。

チームAEDのメンバー。両端は審査員で、ミレニアムパートナーズの秦充洋氏(左)と日本総合研究所の東博暢氏(右)。

 そこで考えたのは、現場にいる人がAEDを取りにいくのではなく、AEDのそばにいる人に持ってきてもらうこと。AEDをネットワーク化することで、救急要請された現場から最も近いAEDがアラートを鳴らして近くの人に気が付いてもらいます。AEDに内蔵したタブレット端末に現場を示し、そのまま運んでもらえるようにしたいと提案しました。この内蔵されたタブレット端末を平時には道案内や広告に使用することで、コストを捻出しようというアイデア。

 審査員からは、「東京オリンピックに向け、これからデジタルサイネージはさらに流行るだろう。AEDの機能のみだと普段は人目につかないところに置かれてしまいがち。平時は別の使い方をして採算を取るというのはとてもいいアイデア」(日本総合研究所の東博暢氏)、「AEDの活用として道案内など全く別の軸を出してきているのがとても面白い。コストもタブレットくらいしか掛からないし、AEDも駅の地図看板のところなどより目立つところに置いてもらえそう」(ミレニアムパートナーズの秦充洋氏)と評価されました。

 他にも、リハビリで歩行訓練をする際に、周囲に動画を投影するプロジェクションマッピングをして意欲を高めるアイデアや、座りっぱなしになるパチンコ台にペダルを付けて、遊戯中にこがせるといったアイデアが飛び出し、脳のストレッチは十分といったところ。この後、12月末のアワード審査まで各チームはサービスのプロトタイプをひたすら作成する過程となりました。

アワード優勝は…LINEカウンセリングサービス
 2015年12月末のアワード審査日当日。サービスのプロトタイプを提出したのは、3チーム。潜在看護師向けの復職支援eラーニングサイト、化学療法中の乳癌患者を対象とした治療の記録・共有サービス「Patient Story」、LINE上でオンラインカウンセリングが受けられる「テラスミー」でした。

左から、発起人の五十嵐健祐氏(お茶の水内科院長)、デジタルハリウッド大学学長の杉山知之氏、テラスミーの森謙吾氏。

 何よりも「実装されているかどうか」が評価されるデジタルヘルスラボ。グランプリは、プロトタイプどころか実際にサービス運用まで始めていた「テラスミー」となりました。テラスミーでは、実際に日本心理療法協会の認定カウンセラー資格を保有するカウンセラーによるオンラインカウンセリングを2カ月間実施。テラスミーの森謙吾氏は、「既に70人前後が登録し、カウンセリングによって悩みが解決したり、利用前は100%だった『お悩み度』が25%まで改善した人もいた」と言います。

 潜在看護師向けの復職支援eラーニングサイトも審査員特別賞を受賞。両者には、デジタルハリウッド大学学長の杉山知之氏より、最大205万円の授業料減免の副賞などが贈られました。

 既に2回目のデジタルヘルスラボ・アワードの開催も決定。2016年3月3日には、キックオフイベントが開催されます(くわしくはこちら)。アイデアを本気で実現してみたい方は、参加されてはいかがでしょうか。

「Cadetto.jp」の新着記事は、Cadetto.jpのFacebookページTwitterでも紹介しています。Facebook、Twitterから最新記事をチェックしてください。また、Cadetto.jpへの感想やご意見などは、管理人増谷ができる限りお答えしますので、ぜひFacebookページにお寄せください。