「患者は医師の一挙手一投足に注目している」
 ある女性は義理の母を一昨年に看取った際のエピソードを紹介しました。お母さんが入院していたときは、毎日病室に通ってできることを精一杯やっていたつもりだった。しかし、「あるとき母の病室に私の友人を連れて行くと、友人は母の手を握り、5分ほど母の話に耳を傾けてくれた。そのとき、私よりも母に関わる時間が短い友人の方が、心を込めて接しているなと感じた」と振り返ります。毎日病室に行ってはいても、家族の夕食を作る心配をしたり、常に時間に追われていたという彼女。そのことから、「心がそこにあるか」が一番重要だと考えるようになりました。同じように、「病院の待ち時間が長く、診察時間が短かったとしても、そこに心があれば満足できる」と話しました。

 さらに彼女は医療者に向けて、こう問い掛けました。「患者は医学的な知識が圧倒的に少ないので、とても不安な気持ちで診察室に入る。そこで医師にため息をつかれたりすると、とても心配になる。患者は医師の一挙手一投足に注目しているが、こうしたふるまいやコミュニケーションについて医学部で習う機会はあるのでしょうか?」

 これに対し、福岡徳洲会病院の内村貴之氏は、「私が卒業した大学では、患者さんに協力してもらい、コミュニケーションを学ぶ授業があった。ただ、患者さんに不安を与えない診療は日頃から心掛けてはいるが、結局は個人のコミュニケーション能力に大きく左右される部分ではあるかもしれない。言葉は悪いが、医師は演技する力も必要なのかなと思う」と答えました。

 全日程が終了した後のアンケートでは、たくさんのレクチャーに刺激を受けたという感想はもちろん、この住民参加型企画の反響がかなり大きかったとのこと。住民と医療者が医療に対する価値観をすり合わせる貴重な機会となり、参加者も得るものが大きかったようです。

 平島氏はJPC2015を終えて、「演者と参加者が本音で語り合い、笑い合う。明日への希望見えた3日間でした」と感想を語りました。「奄美大島には、住民と医療者が手を取り合って立ち向かう医療の原点が残っています。JPC2015は、奄美の医療が日本中に広がれば日本の医療はもっと温かくなると考え、私が奄美大島に来て10年という節目の年である今年、奄美市と協力して開催しました。JPC終了後、全国から集まった医師や医学生から、身体診察と地域医療の重要性、さらに医療に必要なのは情熱であるというメッセージをいくつもいただきました。また、参加した住民からも、医療についてもっと住民自身が考えていかなければならないという声をいただきました。小さい1歩かもしれませんが、終了後の医療に変化を与えることができたと実感しています。参加者の方々と協力いただいた全ての方々、本当にありがとうございました」(平島氏)。

 来年以降の開催は未定とのことですが、奄美大島の医療を体験したい若手医師、医学生の見学はいつでも歓迎とのこと。アツい離島医療に触れてみたい方は、奄美大島を訪れてみてはいかがでしょうか。

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