「留学してみたい」。そんな医学生や若手医師が漠然と抱く思いを実現するために、留学経験のある医師や今年留学を予定している医師が火鍋を囲みつつ答える会が広島で開催されました。第1回「私、これから留学してきます」に引き続き、その様子をご紹介します。

 行きたい留学先を見つけたら、どうアプローチしていけばよいのでしょうか。留学経験者たちが取り組んできた工夫とは?


医学生  留学したいのですが、お金がない。そういう状況でも留学をするにはどうすればよいですか?

藤本  例を挙げると今年3月にMDアンダーソンがんセンター(MDACC)にオブザーバーとして留学してきた長崎大の医学部学生は、「お金がないけど行きたい」と言ってきました。日本でアルバイトを集中して取り組んでもらい、最低限の費用で済むようにシェアハウスを紹介してもらっていました。食費をギリギリ切り詰めてなんとかサバイブしてきちんと成果を残して帰国しましたよ。

 家庭教師をして稼ぐとか、フェローシップを取得するとか、医学部に入れるだけの地頭を使えばなんとかなるものです。確かにお金がないと、他の学生と比べて難しくはなるけれど、それが留学できないことの理由にはならないと思うし、希望を持てば何か手があるものです。

土肥  どうして留学したいと思ったの?

医学生  再入学をしたので医学部に入ったのが遅かったこともあり、大学の方々を含め、色々な人や社会とのつながりを持って、様々な経験を積んでから医師として勤務したいと思ったのが最大のきっかけです。大学に入って色んなことを見ている中で、海外で経験を積むことはすごく今後の人生に影響するんじゃないかと思ったんです。

 あと…贅沢を言えば、スタンフォード大学で触診の重要性を啓発されているエイブラハム・バルギーズ教授のプレゼンを見て、人生で初めてプレゼンで泣きそうになったので、そういう先生の下で勉強をしてみたいと思ったのが理由です。

土肥  じゃあ、お手紙出すことから始めないと。

岩本  ラブレターだ! ラブレター!

医学生  えっ、そういうことで実現するんですか?

横林  特に学生だと成功率は高めですね。学生からの熱意のあるレターは心に残りやすいです。返事をもらえる確率を上げるには、手書きのラブレターがオススメ。誠意が伝わるようにキレイに書くのを忘れずに。

藤本  確かに手書きのレターは見たことないなぁ。(宛名だけを変えたEmailは沢山ありますが)

岩本  よし、手書きだ!

土肥  電子メールと手書きの手紙を一緒に送ったら、返事が来るようになったという話を聞いたことがありますよ。メールでは返事がなかったので、手書きの手紙を郵便で送って、ダメ押しで手紙が届くタイミングでメールを送ったと。そうしたら、最初のメールはスルーされてしまったけれど、返事が続々と来るようになったというハナシ。忙しい人の心をつかむには工夫をしないといけないんですね。

医学生  日経メディカルでこれ書いちゃったら、手書きのレター書く人増えちゃうじゃないですか! ダメですよ!

土肥  メールに返事が来ないのはよくあること。なので、あの手この手を使わないと。僕は、「日本語文献」というセクションを追加して、日本語で書いた文献を英訳して業績欄を水増ししてみました。Pubmedに掲載されていない文献なので評価はされません。まぁ、ごまかしですね(笑)

 でも、それで返事が来る率は増えました。レターの書き方も少し変わりますし、医師としてちゃんと働いてきたことが伝わりやすくなったのかな?とも思いました。反応がなければアピールの仕方をちょっとずつ変えていくのも大事かもしれませんね。

横林  学生であれば、もちろん業績なんてないので、熱意と誠意をどう見せるか、どうやって会ってみたいと思わせるかが重要ですね。

医学生  学生結婚や出産と留学のタイミングについてはどう考えますか? 女医で子育てしていても留学できるのでしょうか。

横林  結論から言うと、留学できる時が留学のタイミングなので、いつでもOKなのかなと思います。一人で留学した方が勉強という意味では効率がよいかもしれませんが、家族で行った方が様々な経験を共有して絆が強まるかもしれません。僕が留学の準備も含めて大変お世話になっている吉田穂波先生は、2人お子さんがいて3人目を妊娠している状態で留学準備をし、ハーバード大に留学され、現在は5人のお子さんがいらっしゃいます。先日吉田家と横林家で食事会をしたのですが、とても素敵なご家族でした。穂波先生のご著書「『時間がない』から、なんでもできる」は留学準備のみならず人生の考え方という意味でも大変参考になりました。とてもお勧めです。

医学生  専門医の取得の時期とのタイミングはどうでしょうか? できれば日本で専門医を取得してから留学をしたいという気持ちもあるんです。

横林  「その時に何に一番興味があるか」で選んでもいいと思います。同じくらいの興味で並ぶものがあれば「どちらがより冒険できるか」で選んでみてはどうでしょう。

 僕の留学時期は、平均的な年齢から考えると少し遅いくらいです。でも、振り返って考えても今がそのタイミングなのだと思います。もし、やりたいことがあるのであればそれを表明しておくことが重要です。なおさら周囲もサポートをしてくれるので。

医学生  留学することに関して医局から反対されなかったのですか?