宮本竜之氏●exMedio社
筑波大学医学専門学群2008年卒業。筑波大学附属病院での初期臨床研修、帝京大学医学部附属病院麻酔科勤務を経て2015年10月より現職。新上三川病院(栃木県上三川町)麻酔科、東京大学医科学研究所幹細胞治療研究センター特任研究員などを兼任。

 さらに、皮膚科の疾患は、診断さえつけば「100点とはいえなくても、60点くらいの治療ができる手段は備えておける」(物部氏)という事情もありました。皮膚科専門医に診断のヒントさえもらえれば、多くの医療機関で入院患者のQOLを高めることができる。こう考えたことが、「ヒフミル君」へとつながりました。

 いざ開発を始めた物部氏らは、日本の皮膚科医のレベルの高さに驚かされます。「我々は2〜3分で1症例を返すことを想定していたのですが、私がスタンフォードで出会った米国の皮膚科医たちにヒフミル君の構想を話すと、1症例15〜30分は掛かると言われました。しかし実際にサービスを開始し、日本で協力していただいている皮膚科医たちが慣れてくると、疾患の写真と問診情報がまとまっていれば、3分程度で返信できるようになり、当初の想定通りに進められるようになりました」(物部氏)。紹介状を書き、患者を他の医療機関に連れて行って診てもらう手間と時間まで考えれば、かなり簡便に皮膚科医のアドバイスを得られることになります。

「皮膚科医の診療の代替」にはならない
 その一方で、物部氏と宮本氏が強調するのは、あくまでも皮膚科を専門としない医師の診断を支援するものであり、皮膚科医の診療の代替になるものではないということです。「むしろ、専門医への紹介を迷う時に背中を押してくれるアプリなのであって、このアプリで診断できるから専門医が不要になるということではありません」(物部氏)。アプリで診断のアドバイスを得た結果、自分で対処できるのか、きちんと専門医に紹介した方がいいのかを判断するところが重要な点。「実際に、このアプリでの診断がきっかけで、内科医が診ていた患者の中から悪性の疑いがある皮膚病変を検出できたこともありました」(宮本氏)と言います。

 現在は、こうしたメリットをエビデンスとして示すため、ある整形外科病院全体で使用してもらい、アプリの導入前後で入院患者の皮膚に関するQOLがどの程度改善したかを示すデータを取っている最中です。10月10日(目の愛護デー)からは、眼科領域の遠隔診断支援アプリ「メミルちゃん」の提供も開始。物部氏は、「寿命を長くするものではないが、QOLを高めるツールとして、他領域のアプリも作っていきたい」と展望を語っています。

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