みなさんこんにちは、Cadetto.jp管理人の増谷です。急に涼しくなり、秋の気配を感じる今日この頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。秋といえば、たくさんの学会が開催されるシーズンです。今回は、9月18日から20日にかけての3日間、横浜で開催される第63回日本心臓病学会学術集会の中から、アイデアが光るユニークなプログラム「General Cardiology Hangout」をご紹介します。

 学会の学術集会で行われるプログラムの多くは、壇上の演者がスライドにまとめた自分の研究成果を発表し、少しの質疑応答があって終了、というものでしょう。質疑応答は基本的に1対1のやりとりとなりますし、時間が限られているため、参加者全員がディスカッションに加わって盛り上がるのは困難です。

第63回日本心臓病学会学術集会会長の山科章氏(東京医科大学循環器内科教授)

 そこで同学術集会会長の山科章氏(東京医科大学循環器内科教授)は、「ICTツールを使えば、参加者全員がコメントすることもできるし、演者がコメントにリアルタイムに反応したりもできる。今回、こうした新しい形の意見交換ができるプログラムを試してみたいと考えた」と話します。さらに、山科氏は「これまでもアンサーチェッカーを用いて簡易的なアンケートを取ったりしたことはある」と言いますが、「アンサーチェッカーだけでは、真意を拾えなかった」と続けます。

参加者のコメントに演者もその場で反応
 山科氏のイメージは、視聴者がTwitterでつぶやいたコメントが番組内で紹介されるNHKのニュース番組、「NEWS WEB」のようなディスカッション。山科氏のこうした思いを汲み、座長を務める水野篤氏(聖路加国際病院心血管センター)が企画したのが「General Cardiology Hangout」です。プログラムでは、心不全患者におけるカテーテル検査の適応や、感染性心内膜炎といったジェネラルな臨床的課題について、各演者が提示する症例や心電図を基に、演者と参加者がICTツールを用いてコメントし合うディスカッションを予定しています。参加者が自身のパソコンやスマートフォンから入力したコメントを、前方のスクリーンに表示する形式で、ディスカッションに参加できるよう検討しています。

「General Cardiology Hangout」で座長を務める水野篤氏(聖路加国際病院心血管センター)

 「欧州の学会などでは、参加者がTwitter上でディスカッションしているのを見掛ける」と言う水野氏。「座長や演者らが症例について口頭でディスカッションする中で、スクリーンに表示されたコメントに対していかに反応していくかが面白くなるかどうかのポイントとなる」(水野氏)とみています。

 今回使用するICTツールは、東京医科大学のeラーニングポータルサイト「自主自学」内にある「eポートフォリオ」です。このシステムは、普段は東京医大の医学生と教員が使用しているもの。例えば、山科氏が課題として心電図を掲出すると、学生からの質問や回答がチャットのように表示されます。山科氏は、システム上で質問を受け付けたり、医学生にポリクリの感想を提出させるといった用途で使用しています。さらに、院内カンファレンスの資料はこのシステム上にアップロードし、参加しなかった学生でも後で資料を見られるようにしているそうです。

 院外でこのシステムを使用するのは、今回が初めて。コメント主の表記は、学内で使用する場合は実名となりますが、プログラムで使用する場合はニックネームで登録することも可能です。「院内でディスカッションしたときは、わずか10分で30人ほどがコメントを寄せた。学術会議でも、活発なディスカッションを期待したい」(山科氏)。