開催側も楽しめる、学園祭のような1日で病院の雰囲気に触れる
 今回のイベントは、2008年12月、外山和隆氏(耳原総合病院外科)が中心となって開催した前身イベント「臨床セミナー」がきっかけで、今まで続いてきたそう。「当初はマッチング対策という目的が大きかったです。研修内容には自信がありましたが、まず病院が知られていないので名前を売ろうと思いました。さらに、研修医やスタッフでイベントを行うことで、モチベーションアップにもつながればいいなと思っていました」と言う外山氏。当時は現在のように医師やスタッフが患者役を演じるのではなく、本物の患者に協力を依頼して問診させてもらった後、グラム染色のレクチャーやX線画像の読影などを行っていました。

本部では、各ブースの進捗や参加者への指令などを細かく管理。

 イベント開催の甲斐もあってか、フルマッチが続くようになった4、5年前。外山氏たちは、スタッフにもかなりの負担となっていることから、イベントの継続を悩んでいたといいます。

 大きな転換を迎えたのは、2014年のイベント企画会議。 濱口政也氏(耳原総合病院後期研修医)が考案したのが、今回のような当直体験スタイルでした。

 「参加者も主催者も、みんなが楽しくできる方法を考えました。それに当直をやってみると、机上の勉強だけでは対応が難しいようなことにもたくさん遭遇するので、体験してもらう価値はあるかなと思いました。イベントではブースごとにフィードバックがありますが、これはイベントだけの特別対応ではありません。うちの病院は、当直した研修医に対して上級医が必ず全例フィードバックをしてくれるんです。対応するのも多くはうちのスタッフですし、耳原総合病院の研修プログラムを体験できるという側面もあるんです」(濱口氏)。

 さらに、耳原総合病院に過去在籍していた医師や協力医療機関の医師などに、イベント当日だけは手伝いに来てもらいます。1日限りの学園祭のように楽しくつながりを保てるという狙いもあるのだそうです。

(左写真)第1回臨床セミナー開催時の中心メンバーだった外山和隆氏。(右写真)当直体験スタイルを考案した濱口政也氏(右)と、今回の企画側の中心的役割を果たした小滝和也氏。

 毎年初期研修医2年目が中心となって開催される同イベント。今年度もイベント開催にあたり、20人前後の初期研修医たちで話し合って「自分たちの成長につながるイベント作り」「耳原総合病院での研修を全国に広める」という2つの目標を掲げました。企画で中心的な役割を果たした小滝和也氏(耳原総合病院初期研修医)は当初、去年のイベントよりさらに良いものを作ろうと意気込んでいました。しかしイベントの準備を行う段階になると、研修医同士で集まって話す時間の確保も難しく、去年のイベントを超えるどころか、質を下げてしまうのではないかという不安が募る毎日を過ごすことになったと言います。

 それでも、イベント終了後の今は「指導医・後期研修の先生方や医局事務の方々の協力があり、無事に終えることができました。研修医の意見を大切にし、サポートするという病院全体の雰囲気があったからこそ開催できたイベントだと感じています。初めに掲げた2つの目標は達成できたと思っています」(小滝氏)と振り返ります。また、「心残りがあるとすれば、裏方に徹していたため医学生さんとの絡みが少なかったことです。次回があれば新しいブースを企画して参加したいですね」と語りました。

 参加者たちも、緊張感を保ちながらも楽しい1日を過ごせたようです。イベントを終えてみての感想は、「緊張感があり、本当の当直みたいだった。疑似体験ができて良かった」「集合したときから周囲の参加者たちが控え室で参考書を読んだりしていて、朝の時点では参加したことを若干後悔した。しかし、ブースに入ると先輩医師たちがいろいろ手助けしてくれ、最後はフィードバックもして教えてくれた。教科書の知識だけでは足りない部分があることが実感できて良かった」「こんなに楽しい勉強会は初めて。普段勉強をしていてつらいなと思うこともあるけれど、それがどう役に立つかが具体的に分かったので、もっと頑張ろうと思えた」と充実感にあふれていました。来年以降も、耳原総合病院の研修医たちが「やると決めれば」(濱口氏)開催されるそうです。気になった方は、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

イベントの締めは、全員が耳を持って「みみはら」ポーズ(?)