みなさんこんにちは、Cadetto.jp管理人の増谷です。今回は、大阪で開催された医学生対象のイベントの模様をお伝えします。

 会場に集められた医学生20人。全員、スクラブに着替えています。建物に入るなり現れたのは、耳原総合病院(大阪府堺市)初期研修医の本田秀峰氏。突然鳴ったPHSに出てみると、どうやら救急要請のようです。「もう眠いし…、病棟いっぱいですし無理です!」。眠そうな様子の本田氏が要請を断ると、デデーン!おなじみの効果音とともに登場した青タイツの男にバット(プラスチック製)でお仕置きを受けてしまいました――。

青タイツの男役は元チーム関西代表で野球部出身の田下大輔氏(勉強会特集の「ハードル上がる問題」に登場)。現在は耳原総合病院初期研修医)。

 今回お伝えするのは、耳原総合病院の研修医が中心となって開催した当直体験イベント「絶対に断ってはいけない当直24時」の模様です。企画名通り、日本テレビの大晦日恒例「笑ってはいけないシリーズ」をオマージュした演出を見た学生たちは、「絶対痛い」「ああはなりたくない」と大盛り上がりでした。

耳原総合病院の研修医が中心となって開催する当直体験イベント

 このイベントは、当直中に起こる病棟での急変や救急外来での対応などを医学生が疑似体験するというもの。医師役や看護師役、患者役を耳原総合病院の医師やスタッフが演じる中、参加者は実際の当直さながらの問診に対応することになります。用意された設定は、小児の発熱やせん妄対応から、不定愁訴、看取りまで10パターン以上! 医学生たちは、電話で呼び出される際に患者の年齢と性別、主訴、ブースの番号は知らされますが、それ以上の情報は当然知らされません。一からの鑑別や対応が求められます。

緊張した面持ちで待機する医学生たち

 会場となったみみはら高砂クリニック(大阪府堺市)では電気を消し、当直の雰囲気が感じられる中、進められました。詰め所に通された医学生たちは、自己紹介の後、呼び出しに備えた勉強を続けます。携帯電話に呼び出しが入ると、緊張した面持ちで指定されたブースに小走りで向かいます(パソコンを持って走る筆者を振り切るスピードで階段を駆け下りる参加者も…)。

「さてどうしよう…」困ったら上級医が助け船
 大阪大学6年生の山本隆盛さんが呼ばれたブースでは、手術後に入院していた高齢の男性患者が発熱したというていました。山本さんは、咳の有無を聞いたり、尿の濁りを確かめたり、呼吸数を確認します(看護師役のスタッフに質問すると、設定に合わせた検査結果などを教えてくれる)。ここで既往歴と服薬歴を確認します。横には備品として血圧計などが置かれているので、血圧を測ってみたりしながら鑑別を進めていきます。

 思いつく手を一通り打った後、「さて、どうしよう…」と立ち止まった山本さん。すると、患者(役)は「背中が痛い…」とつぶやきます。このヒントでひらめいた山本さん、無事正解にたどり着くことができました。

電話を受けてからブースに向かい、入院患者の急変に対応!

 一連の対応後は、そばで見ていた医師からフィードバックと、入院患者の発熱に関するレクチャーを受けます。「どんな順番で問診を進めるかを決めていなくて、途中で思い出しながらやっていました。結果的に体系的に診られず、腹部を触らないなどの見落としがありました」と反省する山本さん。河村裕美氏(耳原総合病院後期研修医)からも、「病棟の急変では自分も看護師も慌ててしまうので、できるだけ体系的に手を打てるように考えておくと良いですね」とコメントされていました。

 普段の座学と違うのは、やはり苦しんでいる(演技ですが)患者さんが目の前にいるところです。名前を呼んだり、会話を成立させたりしながら鑑別を進めなければならないこと、1人で次々と手を考えていかなければならないことなどは、まさに当直体験といえます。

 ただし、必ずしも1人だけでやり遂げなければならないということはありません。専門科の医師にコンサルテーションを求めるというカードを切ることもできますし、本当に行き詰まってしまえば近くで見ている上級医役や看護師役の先輩医師が助け船を出してくれます。そのため、「全部完璧に頭に入っている!」という人以外も参加できるイベントになっています。