人生を明るく乗り越えるために把握すべき3要素
 豊後荘病院(茨城県石岡市)精神科の勤務医でありSNC産業医事務所代表でもある鈴木瞬氏が登壇しました。

 「いつも人生につまずいた、人生積んだと嘆いている人がいる。一見つまらなそうに見える人生を生き生きと生きている人もいる。一方で、とても幸せそうに見えるのにつまらない人生だと言う人もいる」(鈴木氏)。つらい出来事に見舞われたときも、人によって受け止め方は異なります。この差について研究したのが、医療社会学者アーロン・アントノフスキーでした。

 ユダヤの強制収容所から生還した人たちの健康調査を行っていたアントノフスキーが人間のストレスに対処する能力(sense of coherenceSOC)の要素として、(1)自分の置かれている状況がある程度理解できる把握可能感、(2)「なんとかなる」と思える処理可能感、(3)「やりがい」のように、つらいことに対しても何らかの意味を見出せる有意味感を挙げるようになったのです。鈴木氏は、「これらの要素は、困難に直面して乗り越える経験をすることで身に付いていくもの。つまり、人生経験によって培われるもの」と解説します。

 もし「自分はSOCが低いなあ…」と感じたら、3要素のうち特に自分に欠けている要素はどれかを考えます。そして、それぞれを鍛える努力をするといいのだとか。「例えば、処理可能感は、適度なストレス下で成功体験を積み重ねることで高められる。少し背伸びをしてチャレンジして、もしそれでも届かないと思ったら周囲を利用することが重要」と言います。

 3要素の中で鈴木氏が特に重要と考えているのが、有意味感です。「これを鍛えるのが一番面白い。意味というのは、行動しなければ生まれない。私には関係ない、こんな会議しても意味がないと初めから消極的になることをやめ、まずは積極的に参加するところから始めるべき」と言い、「どんなに意味がないと思う会議でも、参加して発言する。なにか自分の爪痕を残すことで、有意味感は大きく高まる」と強調します。

 鈴木氏は、「『人生詰んだ』『終わった』と思ったら、SOCが低い!と考えて3つの要素を思い出し、人生を変えてほしい」と繰り返しました。

近い未来、ITでヘルスケアがもっと身近になっていく
 最後は、「医療とITの未来を考えてみた」というテーマで循環器内科医のお茶の水内科院長、五十嵐健祐氏が登壇しました。

 今は、リストバンド型の活動量計や睡眠計など、様々なウエアラブルデバイスが登場しています。最近は、血糖値管理するコンタクトレンズや心拍数をモニタリングする水泳用ゴーグルなども発表されました。血圧は血圧計を巻かなくても指先だけで計測できるようになるなど、ITの力を借りて、医療機器がより身近な存在になってきています。

 ITを活用して五十嵐氏が取り組むのは、心原性脳梗塞症の一次予防です。iPhoneのカメラで脈拍を検出し、心原性脳梗塞症の主な原因である心房細動の早期発見を支援するアプリ「ハートリズム」を開発。「8割くらいは異常を検知できる」(五十嵐氏)そうです。

 「日本の医療は十分発展していて、適切なタイミングで適切な診療科で診てもらいすれば、だいたいの疾患はなんとかなる」と話す五十嵐氏。ただし、全ての人が医療機関で診てもらえるかどうかはキャパシティなども関係する別の問題です。五十嵐氏は、「将来的に、病院は本当に病院でなければ治療できない患者だけを診るようになり、医療の手前にあるヘルスケアは医療機関ではなく日常生活の一部としてもっと身近なところで担うようになる」と未来を語りました。

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