こんにちは、Cadetto.jp管理人の増谷です。みなさん、学生の頃に理科で習ったミドリムシを覚えていますか? 植物として葉緑体を持ち光合成をする藻の一種でありながら、動物のように鞭毛運動をするという特徴を持つ、体長わずか0.05mm程度の微生物です。世界で初めてミドリムシの屋外大量培養に成功した東京大学発のベンチャー企業ユーグレナ(東京都文京区)の研究開発部ライフサイエンス研究課課長の朝山雄太氏が、ニコニコ超会議2015内で開催された日本うんこ学会に登壇しました。

日本うんこ学会に登壇した東京大学発のベンチャーユーグレナ(東京都文京区)の朝山雄太氏。

ミドリムシには夢と希望と栄養素が詰まっている
 ユーグレナは、社長の出雲充氏が、大学生のときにバングラディシュへ旅行に行って栄養不足が蔓延する状況を目の当たりにし、栄養豊富な食品を作りたいと考えたことがきっかけで誕生した企業なんだとか。実はミドリムシは、ビタミンやミネラル、アミノ酸など59種類の栄養素を備えており、古くから栄養不足の救世主として注目されてきた生物なのです。ただし大量に培養するのが難しく、活用はされてきませんでした。

 そんな中、「当時も現在も世界で唯一」(朝山氏)大量培養に成功した企業となったユーグレナ。社名は、ミドリムシの学名「Euglena」から取ったそうです。

 ミドリムシは栄養素が豊富なだけでなく、細胞壁がないために吸収効率が高くサプリメントに向くという性質もありました。現在は、サプリメントや飲料などが展開されています。

ミドリムシの可能性を紹介するユーグレナのウェブサイト。

 ユーグレナは、ミドリムシだけが作り出すことが確認されているパラミロンという成分にも着目。ヨーグルトを作る要領で、牛乳の中に乳酸菌を入れた容器にパラミロンを加えたものと加えなかったものを用意し、18時間置いてから比較しました。その結果、パラミロンを加えた方はヨーグルトになったことがはっきりと分かる程度まで固形化。一方で、パラミロンを加えなかった方はほぼ牛乳のままだったそう。パラミロンが乳酸菌に対する活性化効果を持つことが分かったといいます。これは、クロレラやオリゴ糖による乳酸菌活性化効果を上回る効果なのだとか。朝山氏は、「これはあくまで試験管内での実験だが、人間の体内でも善玉菌といわれる腸内細菌に作用し、腸内環境を整える可能性があると考えている」と期待します。

 さらに、パラミロンが大腸癌を抑制する効果を持つ可能性についても紹介しました。大腸癌誘発マウスに化学発癌性物質のDMH(1,2-dimethylhydrazine)を投与。その上でミドリムシ粉末投与群、パラミロン投与群、パラミロンの非結晶体であるアモルファスパラミロン投与群、何も投与しないコントロール群に分け、大腸粘膜における前癌病変(Aberrant Crypt Foci:ACF)数を比べました。するとコントロール群に比べ、ミドリムシ粉末投与群は32%、パラミロン投与群は59%、アモルファスパラミロン投与群は73%と、いずれも有意にACF数が抑制されたというデータも得られたそうです。

 他にも、インフルエンザ症状の緩和効果や、コレステロールや中性脂肪といった血中脂質の改善効果、プリン体の吸収抑制と排出促進効果などを報告。ミドリムシには大きな可能性がありそうです。

地球環境に貢献するミドリムシ
 さらに、ミドリムシは食品としてだけでなく、地球環境にも貢献してくれそうです。光合成するため二酸化炭素を吸収するミドリムシ。かなり強力な二酸化炭素耐性を持つことが明らかになっています。そこで、ユーグレナの培養槽に、大量の二酸化炭素を排出する火力発電所の排ガスを通す通気実験を実施しました。通常、ここまで大量の二酸化炭素を吹き込まれると、多くの生物は死んでしまうそうですが、ミドリムシはたくましく吸収し、通常の培養時よりも高い成長速度を記録したのだそうです。

 そこでユーグレナが目指しているのは、ミドリムシから作るバイオ燃料です。バイオ燃料は石油などの化石燃料と違い、資源の量に上限がありません。ミドリムシも植物ですから、光合成の過程で作り出す油脂分を有しているのです。他の植物からバイオ燃料を作る場合、その植物の栽培に適した広大な土地が必要となります。しかし、ミドリムシなら畑を作るのに最適な場所ではなくても培養が可能。しかも、ミドリムシから抽出、精製したオイルは、微細藻類から精製したオイルの中でも軽質で、ジェット機の燃料に適しているのだそう。

 朝山氏は、「2020年の東京オリンピックまでには実用化し、ミドリムシから作ったバイオ燃料で飛ぶジェット機に海外選手を運んで来てほしい」と展望しました。

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