こんにちは、Cadetto.jp管理人の増谷です。今回は、注意欠如・多動性障害ADHD)の少年とその母親との親子関係を描いた映画『Mommy/マミー』を紹介します。先日行われた試写会は、親子ペア限定。30組60人の親子が来場し、それぞれの感想を語りました。

映画『Mommy/マミー』のポスター。
Photo credit : Shayne Laverdiere / c 2014 une filiale de Metafilms inc.

 映画の舞台は、架空の「カナダ」。そこでは、「問題を抱える子どもの親が、経済的困窮や、身体的、精神的な危機に陥った場合は、法的手続きをせずに養育を放棄し、施設に入院させる権利を保障する」というエキセントリックな法律が施行されています。

 そんな法律がある国で、ダイアン・デュプレ(アンヌ・ドルヴァル)は夫を亡くし、シングルマザーとして息子スティーヴ(アントワン=オリヴィエ・ピロン)を育てています。ADHDと診断されているスティーヴは、純粋な性格ではあるものの感情を隠すことが大の苦手。父親の死後、矯正施設に入所していたスティーヴですが、その攻撃性から、入所者に大ケガを負わせるなどたびたび問題を起こし、ついには強制的に退所させられてしまいます。

 久々に始まった母子2人暮らしですが、他人を罵ったりけんかをふっかけたりとまさに感情むき出しのスティーヴにダイアンは戸惑います。他人との距離を測ることが極めて苦手で、爆発すれば手に負えないスティーヴ。しかし、ダイアンへの強い愛情は小さい頃からまったく変わりません。ダイアンも、そんなスティーヴを全力で守ろうとします。

ダイアン(左)とスティーヴ(中央)の母子は、あるとき隣人カイラと親しくなる。
Photo credit : Shayne Laverdiere / c 2014 une filiale de Metafilms inc.

 そんなとき、母子は道向かいの家に住む高校教師のカイラ(スザンヌ・クレマン)と次第に親しくなります。精神的なストレスからか、吃音に苦しみ、今は休職しているカイラは、スティーヴの家庭教師をすることに。母子と接する中で、カイラの表情は徐々に明るくなり、やがて心も快方に向かっていきます。

  母子の関係も、カイラが加わることで徐々に穏やかになったようにみえます。スティーヴの素直さと純朴さ、そしてうまくいかなかったときの暴走。ダイアンのたくましさ、強さ、最後の決断。きれいごとではなく、しっかりと愛を感じられる親子関係が描かれます。

スティーヴを魅力的に演じるアントワン=オリヴィエ・ピロン。
Photo credit : Shayne Laverdiere / c 2014 une filiale de Metafilms inc.

 突然暴力行為に及んだりと、感情を抑えられないスティーヴですが、いつ暴走するのかと見ているこっちもひやひやする一方、母親にストレートな愛情表現をしたり、舌を出しておどけてみせたりと、母に愛してもらおうと精一杯のアプローチをします。母親へのありあまる愛情、穏やかに暮らそうと努力するスティーヴを魅力的に演じるアントワン=オリヴィエ・ピロンに心を奪われます。ダイアン役のアンヌ・ドルヴァルも、10歳代のような派手な服装を好み、激しい気性の女性ながら、息子のことになると危機や問題を乗り越えようというたくましさを見せる母親を演じきっています。