泉氏は、「労働者が控えめに書いたりしないよう、調査票の情報によって不利益が生じないように配慮すること、データはしっかりと管理されることという2点をしっかりと担保できるよう注意した」と言います。具体的には、検査結果は検査を実施した医師らから直接本人に通知し、本人の同意なく事業者に提供することは禁止されます。また、医師との面接指導などを申し出た労働者に対し、事業者が不利な取り扱いをすることは禁止されています。

 なお、義務化とは「事業者の義務」であり、労働者の義務ではありません。泉氏は最後に、「ストレスチェックを受けることで反対に体調が悪くなりかねないような労働者の場合は、受けないことも可能です」と付け加えました。

産業医科大学精神医学教室教授(当時)の中村純氏

精神科医は産業医との連携を強め復職にも積極関与を
 では、一次予防の職場のメンタルヘルス対策は医療の観点からはどのような影響があるのでしょうか。中村氏は、「ストレスチェックの一次予防効果はまだ未知数」としつつも、調査を行うことで労働者が自身のストレスに対する気付きを得られることを評価しました。本人にストレスを自覚させること、既に疾患になっている人は医療につないでもらうことを期待しています。

 続けて、精神科医と職場や産業医の意識の違いについて「精神科医は、疾患の重症度といった疾病性を重視する。一方で職場や産業医はその人が周囲と調和を保ってしっかり働くことができるかどうか、いわゆる事例性を重視している。疾病性は高くないが事例性は高いのがディスチミア親和型のうつ病といえるのではないか」と説明した中村氏。一般的にうつ病の人を励ましたりすることはよくないといわれますが、「ディスチミア親和型の人については励ましや環境を変えてあげることが必要なのかもしれない」と指摘しました。

 一方で、「休職した人を精神科医がどんどん社会に戻していかなければ、職場などからの信頼を得ることはできない」(中村氏)と言い、職場や産業医と連携して復職にも関わっていくべきと語りました。精神科医療機関と産業医活動の連携がうまくいっていないのではないかと言う中村氏。「産業医の先生にはなじみの精神科医を作ってもらい、しっかりと連携していくこと。精神科のことを理解してくれる産業医を養成しなければならない」と連携の重要性を強調しました。

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