みなさんこんにちは、Cadetto.jp管理人の増谷です。みなさん、日々のお仕事の中でストレスや悩みを感じること、ありますか? 2015年12月から、職場でのメンタルヘルス対策として労働者の心理的な負担の程度を把握する検査(ストレスチェック)を1年に1回以上行うことが義務化されます。地域精神保健福祉機構が3月に開催したセミナーで、厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課長の泉陽子氏と産業医科大学精神医学教室教授(当時)の中村純氏が、新制度が導入された背景と経緯、精神科医療に与える影響について語りました。

仕事に悩んだりストレスを抱える人は約6割
 まずは泉氏が登壇。「仕事に強い悩みやストレスを抱えている労働者の割合は5〜6割程度でずっと推移を続けている」と厚生労働省が行った調査を提示しました。過去1年間でメンタルヘルス不調により連続1カ月以上の休業、または退職をした労働者がいる事業場は、2013年には全体の10%に上ります。業種別に見ると、特に多いのが情報通信業(全体の2.0%)で、電気・ガス・熱供給・水道業(0.7%)、金融・保険業(0.6%)が続きます。

 また、2013年の自殺者数2万7283人のうち、原因・動機が特定できたのは2万256人。この2万256人のうち被雇用者・勤め人だった7657人の中で、原因・動機に「勤務問題」が含まれていたのは1895人(24.7%)だったことが分かっています。

 こうした状況は今に始まったことではなく、国はこれまでも職場でのメンタルヘルス対策を呼び掛けてきました。

 2013年時点では6割の事業場が何らかの対策に取り組んでいます。「近年は、小規模な事業場でも対策に取り組む割合は高まっています。この割合を2017年には8割にまで高めるという目標があります」(泉氏)。2013年時点で対策の内容として多かったのは、労働者への教育研修・情報提供(27.9%)、管理監督者への教育研修・情報提供(23.0%)、職場復帰における支援(10.6%)だそうです。

 一方で、いまだに取り組んでいない事業場側の理由は、「該当する労働者がいない」(15.2%)、「取り組み方が分からない」(9.9%)、「必要性を感じない」(8.5%)の順に回答が並びました。

「お願い」ではなく「義務」に
 そこで、2014年6月に可決した「労働安全衛生法の一部を改正する法律」の改正事項の1つに、50人以上の労働者を有する職場でのストレスチェックの義務化が盛り込まれたのです(50人未満の事業場は当面は努力義務)。泉氏は、「これまで事業者にメンタルヘルス対策を呼び掛けてきたときの『お願い』ベースの努力目標と異なり、『義務』になったところが大きな違いです」と特徴を説明します。義務といっても特に罰則規定は現在設けられていませんが、事業者は労働基準監督署に実施状況を報告することになっています。

 ストレスチェックの実施を義務化した大きな目的は一次予防。労働者のメンタルヘルスの不調を未然に防ぐことが最大の目的です。さらに、ストレスチェックを行うことで労働者自身のストレスへの気付きを促すこと、ストレスの原因となる職場環境の改善につなげることも目標となっています。

 ではストレスチェックは実際にどのように行うのでしょうか。指針やマニュアルは現在作成中とのことですが、今決まっているのは医師や保健師などが調査を行うということ。まずは57項目から成る「職業性ストレス簡易調査票」のような調査票に労働者が記入します。この結果などから、心身のストレス反応の評価点数が高い、または心身のストレス反応の評価点数が一定以上である人を高ストレス者として選定します。

 調査を行った医師などは、高ストレス者が医師との面接を受ける必要があるかどうかを判定するとともに、事業者に対して専門的な見地から意見を述べるということです。労働者が申し出た場合は医師による面接指導を実施すること、面接指導の結果や医師の意見から必要に応じて就業上の措置を講じるところまでが事業者の義務となります。