みなさん、こんにちは!先日、ウェブブラウザの検索窓に「インフルエンザワクチン」とだけ打って検索してみた結果、インターネット上の情報の玉石混交っぷりに改めて気付かされたCadetto.jp管理人の増谷です(参照:インフルエンザワクチンは打たない方がいい?)。今回は、そんなインターネットの砂漠に、正しい医療情報をたたえるオアシスを作るべく熱意を燃やすメドレー(東京都渋谷区)の取り組みをご紹介します。

疾患10項目中9項目で間違いが見つかったWikipedia
 気になったことは、まずインターネットで調べてみる。そんなとき、インターネット百科事典のWikipediaは強い味方なのではないでしょうか。Wikipediaは、インターネット上で誰もが自由に編集できるので、印刷された事典では考えられないほど詳細な情報や最新の情報が掲載されていることもあります。

 ただ、こうした便利さがある一方で、情報の信憑性は慎重に検討する必要があります。海外では実際に、疾患について書かれているWikipedia内の10項目を選び、ガイドラインや実際の治療と照らし合わせてその正しさを検証した結果、9項目に間違いや不正確な記述があったという報告がありました(Hasty RT,et al.J Am Osteopath Assoc.2014;114:368-73.)。しかし医療者ではない一般人にとって、その医療情報が正しいのかどうかを判断することは困難です。

「正しい」医療情報の百科事典を目指す「MEDLEY(メドレー)」

 そこで、ウェブサービス「MEDLEY(メドレー)」が目指しているのは、「正しい」医療情報の百科事典です。ネット上で多くの人が編集作業に関わるところはWikipediaに似ています。決定的に違うのは、編集するのが現役の医師たちであること。疾患別に、どんな疾患なのかという基本的な知識や治療法の紹介から患者さんの口コミまで、幅広い情報を提供しようと準備を進めています。

「非侵襲」はNGワード
 正確さを担保するために、まずは、医療資格を持つメドレースタッフのチームが文献を参考に疾患の情報を収集して項目ページを作成します。そのページをスタッフチーム内の医師がチェックしてから、メドレーの編集権限を持つ登録医師向けに公開。診療科が合致する医師に確認依頼が届くため、登録医師は自分の専門分野のページを見て加筆修正の必要があれば編集部に修正提案を送るという仕組みです。

 メドレーの医学監修者であり、現在も救急の勤務医でもある沖山翔氏(29歳)は、「医師であっても、特定のウイルスに由来する疾患など専門家以外は詳しく知らないような項目もある。メドレーの特長は、複数の専門家から見てもおかしくない情報が提供できること」と、医師の中でも特に専門医が参加することの強みを語ります。

 例えば子宮体癌の項目内の内診に関する記述では、「非侵襲的な検査」という書き方はせず、「子宮の入り口や周りに異常なものが触れないか調べる」と説明しています。これは、婦人科医から「医学的な侵襲はなくても、心理的な抵抗感を抱く人が多い検査だし、非侵襲といわれると全く痛みがないのかと誤解する場合もある」という指摘が入ったため。現場の医師のリアルな声を反映するように気を付けながら編集作業に当たっているそうです。

 ほかにも、だらだら長く書かない、一般の人が理解しづらい専門用語を使わない、厳密な表現にこだわりすぎないなどのルールがあります。「ガイドラインなどでは厳密な表現が重視されているが、そのままでは長文になるし一般の人に理解されづらい。医師たちは日々の診療において、正確さを保ちつつも患者が理解できるような言い回しをそれぞれで工夫しているはず」と沖山氏。普段外来や病棟で患者やその家族に説明する感覚で情報を取捨選択してほしいと登録医師に依頼しています。