みなさんこんにちは、Cadetto.jp管理人の増谷です。明日3月11日は、東日本大震災から4年の節目となります。先日、国立精神・神経医療研究センターで、WHO版のサイコロジカル・ファーストエイド(Psychological First Aid:PFA)研修を受けてきました。PFAは、災害や事故、事件などによって深刻なストレス状況にさらされた人々に人道的で指示的な援助を行うことであり、心理的応急処置と訳されるものです。

 心理的応急処置といっても、専門家にしかできないものではありません。中身は、実際に役立つケアや支援、ニーズの確認、必需品の援助、正確な情報の提供、被災者を公共サービスや社会的支援につなぐことなど多くの要素を含みます。危機的状況下で苦しんでいる人に対し誰でも実施できるのが、PFAに基づく支援です。

指導に当たる国立精神・神経医療研究センター科研費研究員の大沼麻実氏

 災害や事故に遭遇してしまうことは誰にでもあり得ること。自身がその場に居合わせることもあれば、後から被災地に支援に入ることもあるでしょう。そうしたときは、メンタルヘルスと心理社会的支援(mental health and psychosocial support:MHPSS)が必要となりますが、全ての人に精神保健の専門家(精神科医や精神科看護師、心理士など)による専門的なケアが必要になるとは限りません。コミュニティ支援者による基本的なこころのケアと実質的な支援であるPFAだけでも解決できる可能性があるのです。

 Brewinらが2000年に発表したメタアナリシスでは、PTSDのリスク要因ごとの影響力を測る平均効果量を算出していました。その中で、生活のストレスは0.32、社会的サポートの欠如は0.40とされています(出典:Brewin CR,et al.J Consult Clin Psychol 2000;68:748-66.)。国立精神・神経医療研究センターの金吉晴氏は、「SSRIによる治療を行った場合の効果量が0.30程度であることを考えれば、PTSDの回復には薬物治療よりも社会的サポートの方が効果的といえる」と語ります。

 ただし、現地のニーズをくみ取らずにただ心理的ケアを押し付けても、被災者に寄り添うことはできません。そのため、PFAを習得した支援者を増やすべく、各地で研修活動が行われています。今回指導していただいたのは、PFA研修指導者である大沼麻実さんと大滝涼子さんです。お2人は、これまで厚生労働省や外務省、自衛隊、警察庁、大使館、DMAT、大学などで研修を行ってきているそうです。研修では、様々なシミュレーションやロールプレイングでPFAを理解していきます。