石井洋介氏●日本うんこ学会会長。横浜市立市民病院外科医でもある。自身が潰瘍性大腸炎に罹患した経験から外科医を目指す(関連記事:あの頃の私)。現在は大腸癌の検診率向上や“排便周り”へのスティグマ解消を目指す日本うんこ学会を立ち上げ、「うんコレ」の医学監修を務める。取材で写真を撮られるときはももクロTシャツで挑むことを、このほど決意。(本文中では石井

石井 ゲームの内容は、画面をタップして癌細胞をイメージして擬人化した敵キャラクターを倒していくカードバトルゲームを考えています。ゲームを起動するとその日の排便状況を聞かれて、それに回答するとガチャを引くことができます。ガチャでは敵キャラクターとの戦闘に有利になるアイテムを獲得することができるという仕組みです。さらに、「検便した」というときは、レアなアイテムが出るガチャを引くことができるようにしたりして、便に対する意識を高めてほしいと思っています。

 キャラについてですが、私自身は元々うんこをデフォルメしたキャラを考えていました。しかし、現在うんコレプロデューサーを務める前田地生氏に相談したところ、「もろうんこキャラはアプリやLINEスタンプの審査を通してもらえないかもしれない。そもそもユーザーもうんこのキャラを毎日見たいと思うだろうか」と指摘されました。まさにおっしゃる通り。そこで前田氏が提案してくれたのが、美少女キャラだったんです。

田口 審査は、私もちょっと苦労しました…。ウンログのキャラはうんこデフォルメキャラですから。アップルの審査を通すために、このキャラは「Japanese ghost(日本のお化け)」なのだと言い張りました。さらに、アプリ内ではうんことかうんちとか、そういう言葉を排除して、「大」とか「ウン」とかに置き換えています(笑)

「Japanese ghost(日本のお化け)」?(まれに隠れキャラが出現する)

 記録を継続してもらうための工夫としては、排便に関する悩みをつぶやけるSNS要素を取り入れたり、排尿記録など要望が多かった機能を新たに取り入れたりしています。まずは排便を記録する習慣を作って、細菌叢の検査とか検診とか、その先の行動につなげていきたいですね。

沢井 便って実際ほとんど腸内細菌ですからね。便に興味を持つようになったら次は細菌叢の検査もしよう、となるように、全てのハードルを少しずつ下げたいですね。

 2年くらい前にちょっと病気をして、入院と手術が必要になりました。そのとき、個人負担が少ない日本の医療制度の良さを改めて実感したんです。この医療制度を永続可能なものにするためには「予防」が重要で、さらに一歩踏み込んでこれらの行動が未来への「投資」と考える価値観を広めたいです。

 検査ってハードルが高いから、普通に会社が勧めても受けない。だからゲーム性を取り入れたりして、間口を広げることが重要ですよね。

石井 おもしろ半分で意識を変えていきたいですね。癌になって抗癌剤に高いお金を払う前に「投資」してほしいです。

 うんコレの発想の基にもなっている「艦隊これくしょん(艦これ)」というゲームは、艦隊を育成するシミュレーションゲームで、艦隊が擬人化されているんです。このゲームのファンは、ゲームを通じて艦隊そのものにも興味を持ち、いろいろ調べたりし始める。うんコレも、ゲームを通じて腸内細菌に親しみを持って調べてもらえたらいいなと思っています。

周囲を気にしながらも、排便や腸内細菌についてアツく語っていただいた3人。

――これからさらにやっていきたいこととか、追加したい機能などはありますか?

田口 ウンログは、アウトプットを見てインプットを意識するようになる「マインドフルアウトプット」を提唱しています。冒頭でお話したとおり、これまで全く気にしていなかった便に意識を向ければ、入り口の食生活改善などの行動変容につながると思います。これからは、食事内容を記録するアプリも強化していきたいと思っています。

 それから、ペットや赤ちゃんに特化したウンログを開発する準備をしています。言葉で意思疎通ができないペットや赤ちゃんは、体を触ったりうんちを見て体調管理をしてあげる必要があります。ここは、ウンログの価値が最大限に生かせるところだと思っています。