ビザスク(東京都新宿区)社長の端羽英子氏

あなたの「経験」に値段を付ける
 「現実的にお金がほしいということもありますが、最も大きいのは社会貢献したいという気持ちなんですよね」――。ビザスク(東京都新宿区)社長の端羽英子氏も、シニアが仕事を求める動機についてこう実感しています。

 「ビザスク」は、企業が抱える悩みを解決できる人材を紹介するサービス。アドバイザーとして登録している個人は、様々な企業が掲示する課題の中から自分の知識やノウハウを生かせると感じたものを選び、応募します。メッセージのやりとりを経てお互いが納得すれば時間当たりの報酬を決め、局所的にアドバイスする「スポットコンサルタント」形式の契約を結ぶこととなります。一定の時間でアドバイスをする形式ですが、コンサルティングを職業とする人ではなく、「その道のプロ」がアドバイスをする点がビザスクの特徴でもあります。現在は、約4000人のアドバイザーが在籍しているとのことです。

 具体的には、新規事業開発や工場の立上げ、生産管理に関して知見を持つ人を募集する場合などが多いそうです。2012年末にテスト版のウェブサイトを立ち上げ、2013年10月に正式にサービスを開始しました。

年齢、性別、期間を問わない「新しい働き方」を提案したい
 ビザスクにアドバイザーとして登録するのに条件はありません。老若男女を問わず全ての人が登録できます。シニア層に限ったサービスではありませんが、定年後のアドバイザーの場合、「経験豊富で会社でも高い地位まで勤め上げた人が多いため、契約料も高額となるケースが多い」(端羽氏)という傾向があるそうです。

 前職は投資ファンドで、成熟産業に投資をして事業を再成長させる仕事をしていたという端羽氏。ビザスクを始めたきっかけは、既存の事業を再成長させる場合は資金調達は比較的容易なのに、再び軌道に乗せるまでがとても大変だと感じていたことでした。「資金は足りているのに、情報や人材が足りていないことが課題だと思いました。実際、社外の方の意見を聞いてみるととてもためになると感じることが多かったんです」(端羽氏)。

 「士業などの明確な資格を持たない個人の経験にも十分高い価値がある。その知見を生かしたい」と考えた端羽氏は、今まで表に出てこなかった経験のデータベースを作ることを目標として事業を始めました。ところが日本は副業禁止を課す企業が多いため、なんとなく自分が働く上で得た知識を社外で生かして報酬を得るということがタブー視されるような風潮があります。「これまで年齢や性別を問わない働き方といえば、フリーランスにならなければならないというイメージがありました」(端羽氏)。

 そこで、報酬を受け取らずに寄付に代えられる選択肢を作るなど、できるだけそのハードルを下げる工夫をしました。企業に所属していたり、定年後に自分で企業したりしていてもアドバイザーとして登録しやすいようにしたといいます。また、数カ月や数年という期間で契約するのではなく、1回当たり1〜数時間と短い単位で契約することで、本業の隙間時間や少しだけ働きたいというニーズにも応えられるようにしています。

 端羽氏は、「フリーランスでなくても、特別な資格を持っていなくても、長期的にプロジェクトに関わることが体力的に難しくても、自分のちょっとした空き時間に経験を生かせる機会を作りたい」と語る端羽氏。「新しい働き方を提案したい」と強調しています。