明けましておめでとうございます。いつもの管理人と異なり、Cadetto.jp後見人(?)が年男だからというわけでもないですが、新年最初のCadetto通信を送らせてもらいます。その最初の話題は、認知症の比較的新しい分類として注目度が高まっているレビー小体型認知症。といっても、疫学や臨床の話ではありません。レビー小体型認知症に罹患した奥さんとその夫の今を切り取ったドキュメンタリー映画「妻の病−レビー小体型認知症−」を紹介します。

 認知症の患者と家族のドキュメンタリーは、テレビでも映画でも今やよく見かけます。この映画が特徴的なのは、患者の夫が医師であること。医師にとっても“新しい”病態であるレビー小体型認知症に戸惑う夫の姿が描かれます。

 主人公は高知県南国市で小児科診療所を営む石本浩市氏と妻・弥生さん(共に1951年生まれ)。弥生さんは2004年に統合失調症と診断され、その3年後、50歳代にしてレビー小体型認知症と判明します。

 発症以来の弥生さんの日常を、医師ならではの観察眼で細かく記録する石本氏。その記録には、診療や地域医療への取り組みと妻のケアの板挟みとなり、自身もうつ病を発症する状況の描写も含まれています。

 石本氏は東京の順天堂大学などで小児癌の専門医として従事し、小児癌のフォローアップ外来などを立ち上げてきました。この映画の監督の伊勢真一氏は小児癌の子どもたちのキャンプを取材する中で石本氏と出会い、10年以上の付き合いとのこと。その伊勢氏が南国市に石本氏を訪ねたのは、奇しくも2011年3月11日。何度かの揺れを感じながら石本氏が口にしたのはいつもの小児癌の話題ではなく、妻のレビー小体型認知症でした。

 以来、伊勢氏は石本夫妻の日常を撮り続けます。身の回りのことがほとんど何もできなくなった弥生さん。弥生さんに深い愛情を寄せてケアする石本氏。夫妻をフォローする家族、親戚、地域の人々。石本氏は妻との生活の中でうつ病を発症し、「このままでは共倒れになる」と弥生さんを施設に入所させる選択を強いられます。家族の介護に直面すれば、医師だって綺麗事では済まないという現実も、映像は突きつけます。

 とはいえ、レビー小体型認知症の病態を知りたいと期待して観た人からは、「ラブロマンスじゃないか」と批判されるそうです。「それでいい」と伊勢氏は語りますが、全てを投げ打っての献身は無理でも、可能な限りパートナーに寄り添い続ける医師の姿は、認知症診療にも何らかの示唆を与えるのではないかと筆者は感じました。

 「妻の病−レビー小体型認知症−」は東京・新宿K's cinemaで1月9日まで上映するほか、1月末以降、広島、静岡、横浜などで上映予定。そのほか、地域や職場、学校などでの自主上映にも応じるとのこと。上映予定、自主上映の問い合わせについては、いせフィルムのサイトをご覧ください。