――勉強会で被災地にヒアリングを行った経験から、福島県での活動に興味を持たれたんですか?

渡部 福島県に来たのは、ある意味運命ですかね(笑)。休学してから何をするか、いろいろ考えていたんですが、先程話に出た団体のフィールドワークなどで何度か東北の被災地を訪れていたこともあり、被災地に関わっていきたいという希望は持っていました。福島県で活動されている先生たちと出会い、一度こうした先生方の下で勉強してみたいと思ったこともあります。最後は直感で決めました。これは私だけではありません。福島でボランティアなどをしている人に聞くと、「被災地だから」というよりは「たまたまそこで活動していた人に魅力を感じて」という人の方が多いように思います。

対談する野中さん(左)と渡部さん

野中 「被災地で活動してみたい」という動機だけの人は、続かないんですよね。

渡部 最初は私も被災地を見てみたい、感じたいと思って来ましたけど、だんだん福島で活動している人たちがやってることは被災地だからやってることじゃなくて、たまたま水面下にあった問題がこの地域で目立ってきただけで、どこの地域にもある問題なんだなと思うようになりました。

野中 私も、アカデミーキャンプなどは被災地の人と関わる活動ではあるけど、被災地を強調することは誤解を招きかねないなと思うようになりました。言い方が難しいですが、思考を停止するための言い訳に聞こえてしまうんです。「障害があるから」とか「被災地だから」っていうのは特質ではあるけど、そこで思考停止しちゃいけないんじゃないかなと思うんです。たまたま障害がある人がいたとして、その人がやりやすくするにはどうすればいいかなって考えるのと、被災地の現状を良くしていくのは一緒だなと最近は考えています。

――被災地だから、という特別視は止めて、地域の特性としてとらえていくべきということでしょうか?

野中 福島県は高齢化が一気に進んでいて、日本の未来を展望できる大事な場所でもあります。これを「被災地だから」というと見えてきた問題に蓋をしてしまうことになると思うんです。

 先ほど渡部さんが、途上国支援、国際保健をきっかけに医学部を目指したというお話をしていましたが、私は反対に海外にはあまり興味を持てなかったんです。日本にもまだまだ問題があるのに、世界の問題を考えている場合なのかって思っていました。でも、被災地でグローバルヘルスを考える活動に参加したことで、高齢化によって起きる問題や解決策を日本から発信することも国際保健への貢献になるんだと気が付きました。

渡部 本当にそうだと思います。今の日本の地方の状況は、数十年後の世界各地の姿です。日本の地域で街作りに携わりながら世界に誇れる地域医療のモデルを作って発信したり、途上国に日本で培った医療技術を伝えるというかたちで国際保健に関わることもできる。地域医療と国際保健の両方に興味を持ちつつ途上国に何度も行った経験から、こう思うようになりました。慢性疾患の対策など、今日本がしっかり対応できることを示し、解決策を構築しておけば、後に世界中で同じ問題に直面したとき、世界への貢献も果たせると思います。

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