インターネットが現代社会において欠かせないツールとなっていることは言うまでもありません。しかし、自らの意志ではインターネットの使用をやめられなくなるほど没頭したり、インターネットにつながった状態でなければイライラするなど、“依存”と呼べるほどの過剰利用をするようになるのは危険と言えます。

 2013年8月、厚生労働省の研究班(研究代表者=大井田隆・日本大学教授)が全国の中学・高校264校に行ったアンケート調査の結果を発表しました。この調査では、全国で推計でおよそ52万人もの中高生が、ネット依存となっている可能性があると報告しています。

 もちろんこのアンケートだけでこれだけの中高生が「ネット依存」となっているとは断定できませんが、特に子どもを持つ親にとっては衝撃的な結果となりました。このような状況から、東京都青少年問題協議会は13年2月、「青少年のインターネット利用に関する啓発の指針」を公表。指針中では、啓発を行う保護者が留意すべき事項として「保護者自らが、およそ青少年を取り巻くインターネット利用におけるトラブル・危険及び過度の利用による弊害を把握するとともに、その回避及び対処の方法を習得するよう努めること」、「メールやインターネット上のコミュニケーションでは、自分や相手の真意が正しく伝わらず、誤解しがちであり、トラブルになりやすいことを青少年に理解させること」などが挙げられています。

 5月24日、このような時代背景から誕生した映画「ディス/コネクト」が公開されます。

 映画は、同時に3つのストーリーが、時に交わりながら進行するオムニバス仕立てです。それぞれが、インターネットが生み出した事件に巻き込まれ、さまざまな思惑、憎悪が暴走していきます。

 監督は、ドキュメンタリー映画作家のヘンリー=アレックス・ルビン、脚本はアンドリュー・スターンです。スターン氏は、ディナーの席でも携帯電話でメールをする人が多いことに気づき、この脚本を書きました。「コンピューターやスマートフォンなど、対面に限らずつながりたいというのは人間に共通する本能的なニーズ。だけど、オンラインやメール、ツイートなどを利用して生きることを選択したせいで、顔を合わせてのコミュニケーションや人間の本当のつながりの重要性がどんどん失われてしまった」と映画のコンセプトを語っています。

 また、製作の1人であるミッキー・リデルは、今の時代にとてもタイムリーな話だ、とプロデュースすることを願い出たと言います。「脚本で描かれている状況は我々にも覚えがあることばかりだった。人々が、つながりたいのにもかかわらず、お互いを遠ざけてしまっているところがね」(リデル氏)

 1つ目のストーリーの主人公は、1組の夫婦です。幼い息子を失って以来、すれ違いが続いていました。妻のシンディ(ポーラ・パットン)は、向き合うことを避ける夫(アレキサンダー・スカルスガイド)に代わる存在として、同様の経験をした人たちとインターネット上の交流を深めていきます。同じ悲しみを抱く人との会話(チャット)に癒やされるシンディ。しかし、そのチャットルームで個人情報が漏洩したことから、クレジットカード情報や口座預金などを盗まれ、夫婦にさらなる試練が訪れます。

 監督のルビン氏は、ナチュラルでリアルな作品にするために状況が似ている人への取材を俳優とともに行ったほか、撮影もドキュメンタリー映画の手法で行ったと言います。よりリアルに演じるために、カメラは演者から離れたところから撮影するようにし、時にはカメラが隠されていることもありました。スカルスガイドはこの撮影方法について、「(カメラが)どこにあるか分からなかったことは、すごく良い演技につながった」と評価しています。