春の兆しを感じる近頃、みなさまいかがお過ごしでしょうか?Cadetto.jp管理人の増谷です。今回は、去る3月8日に高知県で開催された女性医師応援セミナー「JOY×FULL〜『2人』で考える女性医師のキャリア〜」での模様をお伝えします。

「JOY×FULL〜『2人』で考える女性医師のキャリア〜」参加者と登壇者の集合写真

 女性医師のキャリアを2人で考える。このサブタイトルには、女性だけでなく、男性も一緒に女性医師のキャリアを考えるという意味が込められています。

主催者代表の伴正海氏(梼原病院)

 主催者代表の梼原病院(高知県檮原町)伴正海氏は、周囲の女性医師たちが結婚や出産などによって大変なときでも制度に不備があったり職場の協力が得られにくく、医師をやめたり、体調を崩したりする現実を目の当たりにしてきました。「なんとかこの状況を変えたい」と痛感したことが、男性ながら女性医師のキャリアについて考えるきっかけになったと言います。

 母親になった女性医師の働き方の難しさは、よく指摘されるところです(「女性医師の『マミートラック』、どうなってる?」)。日経メディカルでも、過去多くの取り組みを取り上げてきました(「短時間勤務の女医も手術ができるような工夫を」「女医は医療を救えるか?」など)。

 今回のイベントは、多方面から女性医師のキャリアについて考えます。まず男性側の育児に関する考え方を、子どもを持つ男性医師4人が語る「医師パパ座談会」から始まりました。4人は、忙しいながらも子育てに関わる「イクメン医師」(「イクメン医師、増加中!」)たちです。未婚の男性医師と司会から次々質問が投げかけられ、4人がそれに答える形で進みました。

4人のイクメン医師による「医師パパ座談会」

 「子どもに時間を取られるのはめんどうではないですか?」(横浜市立市民病院の石井洋介氏)という問いには、「家族ができて、自分の時間はほとんどなくなったが、それ以上に子どもがかわいい」(高知大病院の加藤友也氏)という意見が聞かれました。

 また、「メンタル的なところではメリットも多いと思うが、大事な会議前に熱を出したり、現実的にキャリアの障害になると感じたことは?」(石井氏)との問いには、「短期間のことを考えると子育ては確かにデメリットも多い。それでも、早く帰って子どもをお風呂に入れる、と決めた日は仕事がものすごく効率化する」(伴氏)、「最後は自分に覚悟があるかないかが重要になってくる。自分がしんどいときは妻もしんどいと考え、どうにかして自分も時間を捻出する努力をすべき」(高知大病院の須賀楓介氏)など、それぞれが子育てへの関わり方や工夫を語りました。

オーダーメードの復帰研修や、復帰後のサポートなどを徹底支援
 次に登壇したのは、元看護師で現在は高知医療再生機構の連携コーディネーターを務める岡林まり子氏です。高知医療再生機構は、高知県の医師のキャリア形成サポートや医師招請支援などを行う機関で、女性医師の復職サポートにも力を入れています。自身の体験から、子育てと仕事の両立の困難さを実感している岡林氏は、「私なら他の人の気持ちを理解することもできるかもしれない」と考え、臨床への復帰を考える女性医師のさまざまな質問に答えています。

「“高知のおかあちゃん”となって、高知の医師を支えたい」と語る高知医療再生機構の岡林まり子氏

 女性医師の復職サポートとしては、日本医師会も女性医師支援センターを開設しており、制度の紹介やよくある質問の公開などをしています。このほかに、高知医療再生機構では「JOYサポネット」を開設。オーダーメードの復帰研修プランや保育情報の提供、勤務時間に関する質問など、あらゆる相談を受け付けています。このような制度の紹介を通して、岡林氏は「復職は未知との遭遇。本人の努力も必要だが、私が“高知のおかあちゃん”となって支えていきたい」と強調しました。

 この後は、4人の女性医師が自らの選択について語りました。高知に来て11年という高知大病院の中嶋絢子氏は、出産時に10カ月の育児休暇を取得。その後、復帰時には子育てで生じる課題を夫婦で理解すべく、同じく医師である夫に1カ月の育児休暇を取得してもらったと言います。「結果的に、1日中目を離せないということの大変さを理解してくれ、復帰後も激務ながら1時間程度早めに帰ってきてくれるようになりました。たった1時間でも、私にとってはとてもありがたいです」と語る中嶋氏。“夫の育児休暇取得のススメ”を説きました。

“夫の育児休暇取得のススメ”を説く高知大病院の中嶋絢子氏

 ほかにも、外科の研修医2年目で出産に挑んだ高知大病院の志賀舞氏や、「意識低い系」を自称する横浜市立大学附属病院の筒井美帆氏などが登壇。筒井氏は、「医師は必ずしもバリバリと仕事をしなくても社会貢献度の高い職業。ゆるやかに仕事と家庭を両立する選択をしても良い」と語りました。

 加えて筒井氏は、ゆるやかに仕事をしたい女性医師のキャリア選択について、「ライバルが少ない科やサブスペシャリティなど、いわゆるブルーオーシャンを選択する方が淘汰されにくく、出産などで遅れが生じてもリカバリーしやすいのでは」とアドバイスしました。