駆けつけ中に患者の情報を得ることで救急搬送を高速化できるとする狙いを語る(画像は決勝プレゼンテーション資料より)

 開発チームは、“駆けつけ中に欲しい患者の情報”を明らかにするため、亀田メディカルセンター救命救急科の田中研三氏にヒアリングを行いました。そこで分かったのは、「患者の姿が見られるだけでも嬉しい」、「進入経路に関する情報もありがたい」、「信頼できる情報が欲しい」という3つのヒントでした。

通報者が患者の様子を動画で中継
 これらのヒントから、チームがまず考えたのは、患者の様子を通報者が携帯電話のカメラで撮影し、動画で中継することでした。周囲の道路も撮影することで、進入経路についても把握できます。さらに、信頼できる情報として考えたのは、呼吸数、脈拍数、体温、血圧、血中酸素濃度といったバイタルサインでした。そこから、画面左で患者の様子と動画中継し、画面右で名前や性別といった基本情報とバイタルサインを共有するといった機能を考えました。

Streaming119の機能として、画面左で患者の様子と動画中継し、画面右で名前や性別といった基本情報とバイタルサインを共有することを考えた(画像は決勝プレゼンテーション資料より)

 また、専用のアプリを作ると、「突然必要になったときにアプリをダウンロードして…などの手間がかかるため、Webブラウザ上で稼働するWebアプリとして開発することにした」(小林さん)と言います。通報後、ショートメッセージサービス(SMS)などで、通報者の携帯電話番号にURLが送信されます。通報者はそのURLをクリックすれば、すぐに動画を撮影して共有し始められるよう、仕様を検討しているということです。

 ビジネスモデルについては、自治体から使用料金を徴収するモデルや、携帯キャリアに対してアプリを提供して使用量を徴収するモデルを検討しているとのことです。「このアプリで、救急搬送が高速化されるだけでなく、救急通報者を“傍観者”から“貢献者”にできる」と語る小林さん。将来性と、今後の実用化が期待されます。