「医療に関わる方、医療を志す方に是非、見ていただきたい映画なんです」

 そんなお誘いがあり、6月14日(金)封切りの映画「インポッシブル」の試写を見てきました。予告サイトなどで目にした方もいらっしゃると思いますが、これは2004年のスマトラ沖地震で被災したある家族のお話です。

 なぜ冒頭のお誘いかと言えば、この映画の主人公マリアは、実在のスペイン人医師がモデルになっているのです。それも3人の可愛い男子の子育て真っ最中のママドクター。タイのリゾートホテルで休暇を満喫していた一家5人(映画の中ではイギリス人一家ということになっています)が、スマトラ沖地震で発生した巨大津波に襲われるという実話が元になっています。

 ちなみにモデルになったマリア・ベロン氏は、2004年当時、ご主人の仕事の都合で家族で横浜に住んでいました。略歴を紹介しておきましょう。

マリア・ベロン氏 略歴
1965年10月11日、スペイン・マドリッド生まれ。47歳。
バルセロナ自治大学・一般診療科を卒業し、メキシコシティで3年間
心理療法士として活躍。夫キケの仕事の都合で日本・横浜に住んでおり、
被災時は子育てのため休職していた。

5月18日(土)、仙台での試写会イベントでのマリア・ベロン氏。

 瀕死の重傷を負って帰国したマリアさんがその体験を語れるようになるまでに5年近くかかったそうです。その後、体験を周囲の人に伝え始めましたマリアさんですが、被災地から遠く離れたスペインでは、多くの人が話に心を動かされはしても、なかなかその実感まで伝えることはできず、もどかしい思いがありました。

「この映画は正直に作られるべきだ」
 映画化のオファーを受けたとき、マリアさんは「この映画は正直に作られるべきだ」と思ったそうです。実際、“正直な”映画を作るために、マリアさん一家は制作チームに全面協力しています。

 「特に、家族5人の話に関しては、私たちの知りうる、本当に真実のみが描かれています。会話一つひとつも実際の言葉通りです。ただ、唯一違うのは、劇中に出てくるボールの色です。あれは実際は黄色だったのですが、映画の中では赤色になっていました。あとは全て真実です」

 「在った物、それがどのように在ったかも事実と同じです。もちろん私たちの話にはもっともっと色々な細部がありましたが、この映画を作るために何かを足すといったことはありませんでした」

 家族の会話シーンだけでなく、家族の被災シーン、特にマリアと長男のルーカスが津波にのみ込まれ翻弄されるところも手加減なく再現されていました(刺激が強すぎたのか、試写の途中で席を立つ人も何人か見られました)。「体験を正直に伝えなくてはならない」というマリアさんの信念、そして執念さえ感じます。

 実は管理人も、見る前は少し腰が引けていたのですが、実際に見てきた今、津波にのまれるということがどんな経験なのか、どうなってしまうのか、何度も話には聞いて「大変なことだ」とは思っても、とうてい実感はできない大勢の人々にとって、経験者が映画人と全力で再現したものを見ることには意味がある、と感じます。

 そして何よりも理屈抜きに胸打たれたのが長男ルーカス君の孤軍奮闘ぶり。詳しくここで書くわけにはいかないのですが、小学生高学年〜中学生くらいの男子のお母さん(お父さんも)、見に行くときにはハンカチとティッシュをお忘れなく。

 実在のルーカス君は、今、医学を学んでいるそうですよ。

「誰かのために、何か役立つことをしなさい。あなた、人助けは得意でしょう」。瀕死の母親の言葉にルーカスは…

映画「インポッシブル」
6月14日(金) TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

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