すっかりご無沙汰してしまいました。Cadetto管理人の佐竹です。2013年もすっかり明けてしまいましたが、今年もよろしくお願いします。

 さて一昨日の土曜日、久々にお芝居(の公開リハーサル)を見てきました。劇団四季が1月20日(日)から2月3日(日)まで自由劇場で上演している「この生命(いのち)誰のもの」という医療ドラマです。事故で首から下が不随になった青年が主人公のこのお芝居、大学病院の病室が舞台になっており、主役の俳優さんは、舞台で2時間以上寝たっきりで演じます。

これは終盤、病室での“出張裁判”の様子。すべてが病室で進みます。

 原作はイギリスでテレビ放映されたドラマ「Whose Life Is Anyway?」(Brian Clark作)。イギリスでの初演は1978年。日本では79年以降不定期に上演されています。それにしても、ミュージカルで知られる劇団四季が、社会派演劇、それも医療モノを手がけていたとは知りませんでした。

 「Cadetto学びの掲示板」 Twitter でもお知らせしましたが、7回目となる今回の公演期間は、1月20日(日)から2月3日(日)までの約2週間です。前回からは約5年半振りだそうです。

 せっかくならUovo(「医師の卵」のことを、Cadettoでは独自にこう呼んでいます)と一緒に、それも病院実習を経験している高学年の方の感想を聞きたい!と、東京女子医大5年生の笹尾怜子さんを強引に勧誘して見に行きました。

 幕が上がると舞台中央にはお馴染みのベッドが。主人公の彫刻家、早田健の病室です。交通事故で重症を負い、集中治療部の江間医師(写真左)らの尽力で劇的救命となったものの、首から下が一生動かないという事実に直面した早田は、「生の自己決定」を巡って江間と激しく対立します。右は担当医の北原真弓です。

 ときに興奮状態になる早田にトランキライザーを処方する医師たちと、服用を拒否する早田。その攻防のさなか、担当医の北原真弓が婦長にもらしたこのセリフが、私たちの心に刺さりました(細かい表現はうろ覚えですが)。

「命を助けるために手を尽くした結果、助かった命を患者さんが使いたいと言っているのに、私たちがすることは・・・眠らせることなんです」 

 「一刻も早く自由にしてほしい」と「生の決定権」を求める早田と、「退院させれば死んでしまう。患者は冷静に判断を下せる精神状態にない」と退院を拒む江間医師。結局、法の裁定を仰ぐことになります。

 2時間余りのリハーサルが終わったその瞬間、客席中央付近から「はい、じゃあダメ出しするよ!」という声が響きました。振り向けば演出家の浅利慶太氏が。「おお、浅利監督のダメ出し、見てみたい!!」と、後ろ髪を強〜く引かれながら、渋々退出した私たちです。

さてさて感想は…

自由劇場前にて。東京女子医大5年生の笹尾怜子さんと。

 重いテーマでしたが、思いのほか、後味の悪くない幕切れに少しほっとしながら、お茶を飲み飲み笹尾さんと感想をシェアしました。

笹尾「薬の投与、精神科の介在、医師以外の医療者の役割…いろいろなことを考えてしまいました。家族の存在も実際には大きいですよね」

佐竹「確かに今回は、家族の意思や、ほかの医療者の介在といった要素は省略されていましたね〜。たぶん論点をクリアにするためだと思うけど」

笹尾「確かに難しいテーマなんですけど、でも今だったら、チーム医療でもっと何かできることはあるんじゃないかな、とも思いました」

佐竹「例えばどんな?」

笹尾「例えば、診断書や精神鑑定が必要になって初めて精神科医が呼ばれるのではなく、普段から他科の患者の精神面についてチェックし、必要に応じて介入するような仕組みができるんじゃないかって。病院によっては取り組んでいるところもあるんですよ」

佐竹「うんうん。そうですね。ところで誰に一番感情移入した?」

笹尾「やっぱり北原真弓ですね…」

 やはりというか、近い将来医師として現場に出る笹尾さんは、担当医師の北原真弓でした。ちなみに管理人は主人公の早田健です。立場もさることながら、年齢の差が出たか…。ベテラン医師だと、主治医の江間医師に感情移入する人も多いかも知れませんね。

 それにしても、2時間以上、こんな形で一つの問題に意識を集中したことはありません。生の舞台のインパクトでしょうか。見に行くなら、できれば友人やご家族などと一緒に行って感想を言い合ってください。医療倫理やチーム医療などの勉強会のメンバーで見に行き、その後ディスカッションすると…濃〜い議論ができそうです。贅沢過ぎ?

 公演期間は約2週間と短め。次回公演は未定ですので、この機会にどうぞ。
劇団四季「この生命誰のもの」東京公演