氏名 佐藤 創, Hajime Sato
年齢 28歳
現在の職業 代表取締役
現在の勤務先 株式会社メディエル(MEDiL Co., Ltd.)
出身大学・学部 一橋大学経済学部・2012年卒
もともとの専門分野 地域経済(南アジア・東南アジア)、中小企業経営、NPO法人運営
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大学に入ってからの夢は「世界中の人々を幸せにする仕組みを創る」こと。そのために、「ビジネスの力を使って、ある産業にて世界的にインパクトを与えるような仕事」をしたいと考えていました。しかしその「産業」=「自分が使命感を持って取り組めるフィールド」は漠然としていたため、まずは色んな会社を見るためにインターンなどを行いました。様々な業種の企業でインターンを行った他、自身でNPO法人の設立を行ったり、役員としてコンサルティング会社の立ち上げに携わったりしました。求めていたとおり、様々な会社の設立や経営に携わることができて知識・経験は徐々に積んでいましたが、それでも上記の「産業」を見つけることはなかなかできませんでした。

そのような折、母に病気が見つかり、脳の手術をすることになりました。実家に帰って地元の大学病院での手術に立ち会いました。そして母の退院までの間に、「違和感」を感じることが沢山ありました。

病室の環境、医療者の対応など、治療における一つ一つのプロセスにおいて「病院にいると、もっと病気になる気がする」「ここに母を任せて良いのだろうか」という不安を抱くような違和感を感じました。医療現場の当たり前って、なんだろう?そのような思いなどが起こり、もっと深く医療のことを知りたくなりました。

どのようにして医療関連の世界に入ったのか?

医療に興味を持ってからは、まずは医療に関する本を読んだり、医療系のセミナーに出たりしました。知人の医者・医学生に話を聞きにも行きました。その中で、医学生だった後輩から薦められた「病院がトヨタを超える日」という本の内容に強く興味を持ち、著者である北原先生のもとで学ばせて頂くことにしました。実際の医療現場を見たいという思いと、これからの医療の未来を創るための知識・経験と考え方を学びたいという思いで、病院の経営企画室でまずはインターンをすることとなったのです。

医療について学べば学ぶほど、いかに医療というものが人々にとって重要であるか、そしていかに深くて解決が難しい問題を沢山かかえているかを知りました。

医療は絶対的なニーズであること、医療は世界中のどこの国でも発展段階に応じて様々な形で求められていること、そして医療は常に最先端の研究開発とイノベーションが必要とされていること。その3点から、医療という産業は使命感を持って取り組めるフィールドだと思い、深く入り込んで行きました。

医療の世界はどうであるか,何を学んでいるか?

医療の世界に入ってみてまず思ったことは、「閉鎖性」が高いことでした。その「閉鎖性」には、(1)医療現場の閉鎖性と(2)医療制度の閉鎖性があります。

具体的には、医療現場というのは高度な専門知識・スキルを持つ医療者たちによって構成されており、一般の人々からはどのように現場が動いているのかはとてもわかりづらいです。情報の非対称性が強く働いており、医療者と患者が対等ではない状況だと思います。

またこれは患者に限った話ではありません。病院で働く中で、医療事業を始めたいという様々な企業の方々とお会いしました。多くの企業が医療事業に参入しようとする中で、大きな壁になるのはその閉鎖性で、商品開発の難しさがそこにありました。 医療制度に関して、日本では基本的に病院が自分たちで値決めをすることができません。診療報酬が定められているため、どれだけ良い治療をしても治療費は同じです。またアウトプットが公表されないために医療がブラックボックス化しています。したがって、本当に医療を必要としている人たちに正しい医療がきちんと提供されているか、いささか疑問です。

以上より、これからの医療には、ニーズに合わせて現場・制度を変革していくことがより求められるのではないかと思います。

医療関連の仕事にもともとの専門分野がどう生きているか?

私は今、カンボジアで仕事をしています。カンボジアに渡った当初はクリニック立ち上げの現場に深く携わり、現在は複数の医療機関立ち上げのサポートや、医療周辺サービス(医療人材紹介など)の提供を行っています。

その中でこれまでの経験の中で特に活きていると思うのは、事業立ち上げに関する経験です。日本では、自身で立ち上げたNPO・株式会社に限らず、様々な事業立ち上げに携わりました。また、コンサルティング会社では新規商品開発や事業改善のプロジェクトに携わりました。顧客のニーズを正確に把握したうえで、そのニーズを解決するサービスをいかに早く提供できる状態を作るか。0から1を創るためにやるべき事は大量にありますが、それを多くの人々の力を借りて立ち上げてきた経験はカンボジアでも活きていると思います。

特にカンボジアの医療現場は、「0」だらけです。医療設備、医療者の技術・経験、医療を支える周辺産業、医療保健政策などなど、多くの分野で足りないものが山ほどあります。日本では当たり前の職種や機械・治療法などの中にはカンボジアでは存在していないものも多くあります。その中で自分たちが創りあげた「1」が社会のインフラとなっていくことには大きなやりがいを感じています。

一方で、カンボジアでの仕事は毎日がハプニングです。例えばクリニックの設立や会社登記などで政府(省庁・役所)とやり取りをすることが多いのですが、手続きの明確なプロセスが示されておらず、必要な書類が後から知らされたり、担当者ごとに言っていることが違ったり、ロジックが通じない人を相手にすることも多々あります。そのような時は、協力してくださる事業パートナーの方の人脈を辿って正しい情報や支援者を見つけるなどの対応が必要です。このようなことが日々起こるため、カンボジアで仕事をしていることで、問題解決能力はかなり高まっているのではないかと思います。

日本では当たり前のことがカンボジアを含む海外では当たり前ではありません。そのように不確実性が高い中で自分たちが提供したい医療を提供するためには、非臨床面でのノウハウ・スキルも非常に重要なことだと思っています。

今後どのようにキャリアを形成していくか?

まず、カンボジアにて、より予防にフォーカスして1人1人にあった医療を提供できる場を創りたいと思っています。なぜなら、急速な経済発展に伴い生活環境が変化する中で、より健康ニーズが高まっていくためです。そのニーズに対応できる医療を病院・ジムなどの事業として提供していきたいです。

また、現在は日本の多くの医療機関が海外に目を向け始めています。カンボジアにも多くの医療者の方々が視察にいらっしゃるようになりました。その中では実際にカンボジアでの医療機関設立を進める方もいらっしゃいます。それによってより多くのカンボジア人の方々が、高度な医療を受けることができるようになってくると考えており、私も進出・運営のサポートを引き続き行っていきたいです。

そして、カンボジアでの事業展開と合わせて東南アジアへの事業展開も行い、1人でも多くの人々が安心できるような環境を創っていきたいです。

このようにして「世界中の人々を幸せにする仕組みを創る」という夢に向け、事業を展開していきたいと考えています。

医療従事者(医師・看護師・薬剤師など)が身につけると良いと思う+αスキル

0から1を創りあげるスキルは、医療従事者にも必要なスキルではないでしょうか。それは会社や事業のようなものの立ち上げに限らず、現場のちょっとした改善や学習コミュニティづくりなど様々なものから身につくスキルです。

医療従事者1人1人は、医療を提供するだけではなく、これからの医療を創っていく立場にあるのではないかと考えています。0から1を創り、課題を解決するために行動できる人が増えていくことで、医療は大きく変わっていくはずだと信じています。

ブログ・ホームページなど

・株式会社メディエル(自社HP):http://medil.asia/jp
・カンボジア医療ビジネス日誌:http://medical.konkhmer.info/

自身が紹介されたマスコミ媒体など

・書籍「カンボジアで出会いたい100人」
・WEB「another life」:http://an-life.jp/article/217/

 

※「臨床+α」の詳細はこちらをご参照ください⇒http://rinsho-plus-alpha.jp/