• 鈴木 裕介氏 Yusuke Suzuki MD
  • 年齢 : 31歳
  • 現在の職業 : 企画戦略特任医師
  • 現在の勤務先 : 高知医療再生機構/仁生会 細木病院
  • 出身大学・学部・卒業年度 : 高知大学医学部・2008年卒
  • 臨床専門分野 : 内科
  • +αの道に入る前の臨床経験年数 : 4年
  • +αの道に入った際の年齢 : 30歳
  • プラスα道後の臨床経験年数 : 1年
  • +αの道の種類 : 民間医療行政

何故+αを選んだのか

 高知県の若手医師の減少が著しい中で、危機感を感じた仲間と一緒に非公式で地域プロモーション活動(イベント企画やサイト作り、ノベルティグッズ製作など)を勝手に行っていたのがきっかけです。

 直接縁がないのに高知に興味をもってくれたり、実際に高知の病院に見学に来てくれた人が増えてきたりする中で日常臨床とは一味違った大きな充実感を感じ、こういうことが仕事にできたらいいなあと漠然と感じていました。ダンスをやっていたこともあり元来表現することが好きで、つくったモノに対するダイレクトなレスポンスがあるのがとても面白いと感じました。

 もう一つ大きな動機は、現場に立って医療者自身のhappinessの問題を自覚したことです。

 一緒に働いていた仲間が過酷な環境から情熱を失ったり、心身の不調をきたし倒れていく姿を目の当たりにして、「いい人が幸せになれない」ことに疑問を感じ、医療のサステイナビリティ(持続可能性)について考えるようになりました。

 現場の人はみな一生懸命なのに、医療者や患者に不幸が生じてしまう。その多くが医療そのものに起因するのではなく、マネジメントや制度にかかわる問題であり、慢性的に人が足りないことによる歪みが現場をより深刻な状況にしていると感じました。人を集め、現場の歪みを解消し、一刻も早く地域の医療を「支える人」を「支える仕組み」を作りたいと思うようになりました。

どのようにして+α道に入ったのか

 当時は大学医局で放射線科のレジデントをしていたのですが、上記の勝手なプロモーション活動の一環として仲間が作ったホームページが高知県の臨床研修を統括されているエライ先生の目に留まり、それがきっかけで臨床研修に関わる意思決定の場に関わりを持たせていただけるようになりました。

 その場で自分たちの構想や事業計画をプレゼンした時に、今の職場である「高知医療再生機構」の理事長がとても好意的にとらえてくれて、活動を全面的にバックアップしていただけるようになりました。そうして一緒に活動していく中で、機構のミッションである医療再生というテーマにもう少しディープに関わりたいと思うようになりました。

 大学医局に勤めていたのですが、自分が若い人たちのニーズを汲める年齢であるうちに行動を起こしたいと思い、理事長に「雇ってください!」と直談判しました。幸い快く歓迎してくださり、上記の役職をいただいて今に至ります。

 同時に、身動きがとりやすいように県内で前衛的な取り組みをしている市中病院に内科医として勤務させていただく運びとなりました。ここでも臨床研修担当として時代のニーズに合うちょっと尖った研修プログラムの策定に関わらせていただいています。

 当時は、安定の象徴である大学医局を離れることに対しては正直不安を感じていました。その時に「臨床+α」にご紹介されている方々がそれぞれの道で活き活きと輝いているのを拝見させていただき、大きく背中を押していただきました。本当に感謝しています。

プラスαの道はどうであったか、何を学んだか

 高知医療再生機構は、厚生労働省の地域医療再生臨時特例交付金を主な財源とし、地域医療再生に関わる様々な事業やリソースの開発(医師招聘や設備投資支援、人材育成支援など)を行っている一般社団法人です。現在の僕の機構内での業務としては、主に若手医師のリクルートのための企画戦略を担当しています。

 「地域に人を残すこと」をテーマにしたときに、若者を地域に縛りつけるための方法論ばかりが語られていて、肝心の「顧客目線」が見えてこない。地域医療崩壊が叫ばれているこの時代に、無限の選択肢の中でなぜわざわざ地方に残らなければならないのか。そこに価値や必然性を見出せるようなものを創らない限り人は残らないと思っています。「太陽と北風」における「北風」的なアプローチだけでなく、若者のニーズを具現化し、「ここで働きたい!」と心から思えるような「太陽」的なアプローチが必要だと思いました。

 これまで僕が立案した事業としては、研修医のメンタルヘルス・マネジメント事業や、若手のためのキャリア支援相談室の設立、経営・ITなど「臨床+α」のスキルを備えた次世代の医療者の育成プロジェクトなどがあります。いずれも学生や若手医師のニーズから生まれたものです。

 また看護師のリクルートや女性医師支援などについても、行政スタッフとの横断的なプロジェクトを展開していく予定です。他にも研修医や若手発案のプロジェクトがいくつもあり、地方紙など各方面で温かいご評価をいただいています。

 「コンテンツは認知されなければ意味がない」ということを強く痛感し、行政的な公益性のある事業に積極的にマーケティングやブランディングの視点を取り入れ、試行錯誤しながら実践しています。とてもチャレンジングな毎日です!

現職に+αはどう生きているか、または現職が+αそのものの場合は、臨床経験が現在どう生きているか

 現場の医師であることが、現場のニーズを拾う上で何よりも役に立っています。

今後どのようにキャリアを形成していくか

 まずは、地域医療再生に貢献できるようなプロジェクトをいくつも積み重ね、それらを統合して一定の再現性のある「高知モデル」を作り上げることが目標です。

 さらに、国内外でネットワークを構築し、ローカルの成功例をシェアすることでモデルの精度を高め、最終的にはオープンソースのような形で県外・海外に輸出することが出来れば、日本全体そして世界の医療が元気になる!と考えています。そのためにまずはローカルでのトライアルを粛々と続けていくことが大事だと思っています。

 今後も地域ブランディングに深く関わっていきたいので、MBA取得やコンサルタントファームでのインターンを考えています。スタンフォード大学のデザインスクールにもすごく注目しています。あとプレゼン力向上のためにNSC(吉本興行芸能学院)への入学を一時期考えましたが、妻に止められたのでやめました。

 また給与やポストがゴールではない、今の若者のニーズに合った「自分らしく生きるキャリア」を描けるような環境を作りたいですね。高知でいろんな可能性を提唱することで、今の若い医療者が感じている閉塞感を打破する一助になれればと思っています。

ブログ・ホームページなど
・コーチレジ:http://www.kochi-resi.net/index.html
・高知医療再生機構:http://www.kochi-mrr.or.jp/
・細木病院:http://homepage2.nifty.com/jinseikai/hosogi/

 

※「臨床+α」の詳細はこちらをご参照ください⇒http://rinsho-plus-alpha.jp/