• 裴 英洙氏 Eishu Hai, MD, PhD, MBA
  • 年齢 : 39歳
  • 現在の職業 : コンサルティング会社経営
  • 現在の勤務先 : メディファーム株式会社
  • 出身大学・学部 : 金沢大学大学院、慶應義塾大学大学院
  • 臨床専門分野 : 一般外科、 外科病理学
  • 前回の記事投稿 : 「目標は100万人の患者さんに喜ばれるシステム創り」(2009年2月)
  • ≪リンク先≫ http://rinsho-plus-alpha.jp/?p=253

1)現在の職業や近況について、医療とどう関わっているかを中心にご紹介ください。

 前回の記事からもう3年経ったのですね。確か、前回はフランス留学中に書いたものです。その後、無事にMBAを取得し、大学院在学中に起業し、医療関連のコンサルティングファームを立ち上げました。現在、4期目となります。

 当社のビジネスは3本柱から成り立っています。一つ目は、ハンズオン型の病院経営コンサルティグ、二つ目はバイオベンチャーをはじめとするヘルスケアビジネス支援、三つ目は、医療情報や医学知識を非医療者に、または経営ノウハウを医療者に、分かりやすく伝える“翻訳”支援です。いずれも医療者の経験や知識を活かせる内容となっています。

 ハンズオン型病院経営コンサルティングとは、医療機関で起こる様々な問題に対して、実際に病院の中に入って、時には白衣を着て臨床現場に立ちながら、問題解決を行うスタイルです。具体的には、外来で診察したり、胃カメラを握ったりしながら、医療現場の課題をあぶり出すこともあります。

 医療経営においては、「医者の医療安全教育がうまくいかない」「手術室のオペレーションを改善したい」「看護師向けの人事考課制度を策定したい」「診療科間のコミュニケーションを円滑に進めたい」などの様々な悩みがあります。医療者の気質とでも言いましょうか、医療者は医療者の言うことしか聞く耳を持たない傾向があります。医療現場を知り、医療のことが分かる人間だからこそアプローチできる問題があると考えています。

 二つ目のヘルスケアビジネス支援に関しては、例えば、外資系医療機器メーカーの医学顧問的なアドバイス業務を行っています。これは、国内臨床治験等に関する医学的アドバイス、医療機器の不具合が起こった場合の医学的側面からの原因追及や問題解決のアドバイス、メーカーから大学等の研究機関への寄付行為に関して医学的に妥当かどうかの最終決定、アジアを含む環太平洋地域の各国との臨床治験等の協議、などです。

 欧米では医療機器メーカー内には、このような部署に多くのMD+MBAホルダーがいるのですが、日本ではまだまだ少ないのが現状です。臨床現場でも医師不足で仕方ないかもしれませんが、デバイス開発などのindustryの世界にも医療者が多く入り、現場視点でのデバイス開発を進めてほしいですね。

 三つ目は、医療業界に参入したい一般企業等へのアドバイスや情報提供、医療系NPOや医療系公的組織への経営アドバイス等です。NPO等には経営に特化した専門職が少ないので、マネジメントがうまく回らないことが多いです。そのような場面でお手伝いをしております。

2)前回登場時から、現在に至る経緯についてご紹介ください。

 まず、ヒゲを剃り、髪を短くしビジネスパーソンらしくしました(笑)。

 起業することは初めての経験であったので、起業に関する課題や疑問をビジネススクール同期に聞きまくりました。社会人学生が主体の大学院であったので、百戦錬磨のビジネスパーソンがワンサカおりいろいろなアドバイスを頂き助かりました。練りに練ったビジネスモデルをクラス中で叩かれたのも今では良い思い出です。当時は、100個くらいのビジネスは考えましたかね。今も実現したいアイデアはたくさんあります。ただ、今の医療界に必要とされ、我々が提供できるリソースを有すると判断したのが、現在の会社になります。

 ビジネススクールでは経営のイロハの“イ”くらいを学びました。あとは、“最速での実践”あるのみと考えていましたので、自分で起業することがぴったりでした。おかげさまで、悩みと喜びの連続です。毎日が刺激的で、二度と同じ課題やシナリオに当たらないのが常態になっています。月曜日に起きるのが嫌になるBlue Mondayという言葉がありますが、我々の場合、Happy Mondayとでも言うのでしょうか(笑)、月曜日が待ち遠しくて楽しみです。こんな気持ちは小学校の遠足以来かもしれませんね。

3)今後どのようなキャリアを形成していきたいか教えてください。

 前回書いたことと変わっていません。「1万人の患者さんが治る手助けよりも、100万人の患者さんに喜ばれるシステム創り」です。臨床現場に立つことも尊い仕事です。その仕事を支える土台を創ることも必要と思います。私は後者を選びました。医療者が心おきなく医療に打ち込める環境やシステムを創り、その先にある多くの患者さんが喜ぶ姿を目指しています。

 おそらく、野武士のように泥くさいスタイルで、ハンズオン型コンサルティングを続けていくと思います。必要とされるところに赴き、楽しく脳ミソをフル回転する仕事に従事したいと思っています。当社だけでは限界がありますので、近いうちに同志を集めて野武士集団を創り、「病院のブラックジャック」のように、いろんな病院に出没し、経営問題を解決し去っていく、そんなことを思い描いています。

 また、現在、3つの大学の講師をさせて頂いています。若い学生にチャレンジすることの素晴らしさと厳しさを伝えていくこともミッションと考えています。

4)同じ道を志す方へのメッセージ

 つい先日、当社で医学生インターンを受け入れました。私が某医科大学で病院経営の講義をした際に、関心を持った学生です。将来的なキャリアプランの一つとして、病院経営のスペシャリストになりたいので実地を見てみたい、との希望でした。医療機関の経営問題は医療問題に直結することが多いです。インターン終了時に彼には、「臨床現場を少なくとも5年以上経験してから経営の道に挑戦したらどうか」とアドバイスをしました。患者さんや医療者の悩みを肌で感じることが、医療機関経営・ヘルスケアビジネスでは大きな武器となると思います。

 同じ道を志す方、ぜひ一緒にHappy Mondayを味わいましょう!

ブログ・ホームページなど
HP:http://www.medixfirm.com/
ブログ:http://ameblo.jp/haikoba/
著書など
「君が外科医になる日」講談社(共著)
ご自身が紹介されたマスコミ媒体など
・日経メディカルオンライン 現在掲載中
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/blog/hai/
・日経メディカル
・ダイヤモンドオンライン
http://diamond.jp/category/s-jmat
・VERY 2010年12月号
・Jamic Journal 2011年6月号

 

※「臨床+α」の詳細はこちらをご参照ください⇒http://rinsho-plus-alpha.jp/