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 昨夜は遅くまで、宮沢にカテーテル動画の見方を教えてもらいながら、ステントの太さや長さをまとめた。驚いたことに宮沢は、全症例の全動画を暗記していた。
「全部100回以上見たからな…」
 ボソッとすごいことを言う。
 連日病院に泊まり、目を充血させながら見ていたのは、どうやらカテーテルの動画だったようだ。全部100回見た上での結論は、「治療戦略(strategy)も治療技術も特に問題ない」というものだった。当初は助手の金子Jr.が下手過ぎて何かしらミスをしたと考えていたようだが、そうでもないらしい。
「医局内でこの話はタブーだ。こういう状況が昨今問題になっている医療ミスや医療訴訟の原因になるのかもしれないな」
 そう言うと、宮沢はフーっとため息をついて座り込んだ。そういえばジョージも先日の臨時ミーティングの時に同じようなことを言っていた。
「医療ミスや医療訴訟の原因って、どういうことですか?」
 僕は、いつもの活気がなく肩を落としている宮沢に質問をぶつける。
「内部の人間なら、早い段階で 『何かおかしい』と思ったとしても、抱え込むしかない。何人もの命が犠牲になって、大問題になってから初めて情報が外に出る。そしてマスコミによる病院叩きが始まるってことさ。できれば早めに原因を究明したいんだけど…」
 ここで右手の親指を力強く立ててニヤリと笑い、宮沢はこう付け足した。
「正直、俺1人ではもうお手上げだ。ディーゴ、頼むぞ」

 何とかデータをまとめ上げ、アプリに投稿する頃には夕方になっていた。
 合併症の有無、部位、ステントの種類、特記事項の順に並べた。

 項目別に合併症数をまとめると、こうなる。

 投稿直後から、ディーゴでは活発な議論が始まった。

これだけ合併症が起こっているのに、準緊急とロータブレーターではゼロ?
4/21 17:15 MED_KU


そもそも合併症って何?
4/21 17:22  村医者ジャンボ


ステント留置後のST上昇や心室細動などをまとめて「合併症」としました。詳細は…諸事情によりご容赦下さい。
4/21 17:30 ディーゴ


確かに、病院名バレるのもヤバイしね。準緊急とは?
4/21 17:35  村医者ジャンボ


不安定狭心症などで入院当日の午後や翌日にカテーテルをすることを準緊急としています。その他は全て予定入院のカテーテルです。
4/21 17:40 ディーゴ


ロータブレーターと準緊急の共通点ってなんですかね?
4/21 17:42  ミスター3時前


術前の評価が不十分ってことじゃなかかね? ロータブレーターが必要な冠動脈って、石灰化が強くて冠動脈CTがほとんど役にたたんけん、カテしてみないと病変部の詳細が分からんばい。
4/21 17:55  九州男


ちなみに当院では、予定入院の方は全員、入院前にトレッドミル運動負荷試験、心筋血流シンチグラフィ、冠動脈造影CTを施行しています。
4/21 18:00 ディーゴ


なるほど。予定入院で術前の評価が十分だった方が合併症が多いんですね。あと、もう1つ気になるのは、症例6のLAD 6 Sience 3.0×38 の合併症なし の症例ですね。
4/21 18:04  ミスター3時前


当院では、左前下行枝#6に30mm以上の長いステントを使用することはあまりなく、ステントを2本重ねていますね。これは病院によって違うと思いますが。ちなみに、Agariは長さ28mmまでしかないから、30mm以上の病変を1本でカバーするならAgari以外になりますね。
4/21 18:10  東海の循環器医


本当はAgariを使いたかったけど、実際見てみたら思ったより長かったから急きょ他のステントにでもしたのかな。
4/21 18:20  彩