東藤泰宏氏
Yasuhiro Toudo
LITALICO新規事業開発部U2plus編集長●1981年生まれ。IT企業で働くうちに、過労のためうつ病を発症。1年半のうつ病ニート時代を経て、2011年にスカイライトコンサルティング社主催の「起業チャレンジ2011」で最優秀賞を獲得し、賞金300万円を得て起業。12年1月にU2plusを公開。15年3月にLITALICOに事業譲渡し、現職。

 抑うつ症状を抱えた人の多くはつい「つらいこと」「苦しいこと」にとらわれ、ネガティブな考えのループにはまってしまう。こうした人同士がコミュニケーションを取り、ポジティブに支え合える場所を作れないか。そう東藤泰宏氏は考えて、ウェブサイトで認知行動療法を提供するサービス『U2plus』を立ち上げた。

 U2plusは、認知行動療法に基づいた3つの機能で構成するSNS。その機能は、(1)その日できたこと、楽しめたことを記録する「FunCan」、(2)抑うつ状態になる「うつサイクル」に気付くための「U2サイクル」、(3)多少つらいことがあっても、物事を柔軟に捉える練習をする「コラム」─。調子が悪いときは「ログインできた」と書きこむだけでも、他のユーザーが大きな一歩と共感してくれて、「いいね」「すごい」と励ましてくれる仕組みも備えている。

 逆に、「死にたい」などのネガティブなコメントは、共有されないようにフィルターを掛けている。

カミングアウトしてみたら…
 U2plusを「ネガティブな人が世界で一番集まっているSNS」と笑う東藤氏。自身もIT企業の第一線で活躍する中、「気付けば過労からうつ病を発症していた」。発症後、周囲に症状をカミングアウトしたところ、想像以上に周りにもうつ病患者がいることを知り、「何かできることはないかと考えた」ことがU2plus立ち上げのきっかけになった。

 「医師ではない自分がサービスを立ち上げるには、科学的根拠が必要と考え、認知行動療法に行き着いた」と東藤氏は振り返る。

 今や8500人ものユーザーが集うSNSへと成長したU2plus。うつ病患者やその家族らが情報を集めて作る百科事典サイト「うつペディア」や、カウンセラーによる電話相談サービス(有料)も開始している。「うつ病患者だけでなく、患者をサポートする家族やパートナー同士が交流できる仕組みを作りたいと画策しているところ」と東藤氏。今後も無理のないペースで前進を続けるそうだ。

U2plusのウェブサイトより。「FunCan」「U2サイクル」「コラム」を使って、気軽に認知行動療法に取り組める。抑うつ症状の人が励まし合い、体調を楽にするサポートをするのが狙い。