〔3〕どちらが正しいかより、損得感情で行動を
 どんなクラッシャー上司にも、良い面はある。真面目な若手医師ほど、臨床能力の高さなど上司の良い面と、自分が抱いた嫌悪感や憤りなどの負の感情をうまく整理できずに葛藤してしまう。その結果、負の感情を発散せずに結局は医師として未熟な自分の責任だと感じてしまいがち。

クラッシャー上司に怒られたら、機嫌が悪い理由を考えてみよう。

 しかし、レッテルを貼った上司から理不尽に怒られた場合は、負の感情を我慢する必要も過度に自己評価を下げる必要もない。クラッシャー上司に構ったり、言われたことに凹んでいても時間の無駄と考え、できるだけ関わらないよう距離を保つのが鉄則だ。「クラッシャー上司が相手であれば、嫌いという自分の感情に素直になることも重要」と高知医療再生機構の鈴木裕介氏は言う。理不尽に怒られたら、「出勤前に奥さんと喧嘩したのかな」、「お昼前だから血糖値が下がっているのかな」と観察に徹するのも負のスパイラルに巻き込まれることを防ぐ1つの手段だ。

〔4〕ユニークな愚痴で笑ってストレスを発散
 「言ってることは正しいかもしれないけど、あの“上から口調”、マジ許せない」などと、支離滅裂でもいいから感情をあえて口に出し、負の感情を発散することも必要だ。若手同士で素直な感情を吐露し合えば、1人で抱え込むことを防ぎ、お互いの状況も把握できる。さらには、愚痴に覚えたての医学用語や時事ネタを交え、ユーモアや創意工夫を凝らせれば場は和み、「同じ感情を持っている同士で共感と絆が生まれる」と鈴木裕介氏。こうした経験の積み重ねが互いの絆をより強くする(下図)。

●インテリジェントな愚痴(その1)

●インテリジェントな愚痴(その2)

 ただし、これらの対処法は、あくまで不調を感じる前から実践すべきもの。クラッシャー上司からの圧迫に耐えられなくなったら、研修先を途中で変えるという選択もある。「40年以上の医師人生を考えたらほんの入り口なのだから、ひとまず逃げるという選択肢もあると知っておいてほしい」と鈴木裕介氏は話している。