いつも元気な同僚・後輩が、ある日見掛けると表情が暗く、休みがちになっていた。手を差し伸べたいが、正直どうすればよいのか分からない─。そんな経験のある人も多いのではないだろうか。

 アンケートの結果(Q3)でも、同じ職場の医師の抑うつ、うつ症状に気付いたときに、「何もしなかった」(210人、15.8%)、「どう接すればよいか分からなかった」(183人、13.8%)と答えた医師は少なくなかった。

Q3 同じ職場の医師が抑うつ症状。そのときあなたは?
「同じ職場の医師の抑うつ、うつ病症状に気付いたことがある」医師1328人に、その後どんな取り組みをしたかを質問。最も多かったのは「定期的に声を掛けるよう心掛けた」(44.4%)で、「精神科の受診を勧めた」(19.4%)、「休職・転職を勧めた」(16.5%)と続いた。一方、「何もしなかった」は15.8%、「どう接すればよいのか分からなかった」は13.8%だった。

 抑うつ状態やうつ病になってからでは、周囲が手を差し伸べるのは難しくなるもの。基本はまず自己防衛で、「日ごろから自らのメンタルの状態を客観的に見て、何がストレスになるのかを認識しておくことが大切」と豊後荘病院の鈴木氏は言う。何時間以上寝ないとイライラする、苦手な上司に週に何回会うと胃が痛くなるなど、「ストレスの要因を定量的に知っておくことも重要だ」(鈴木氏)。

 忙しくても、先が見通せれば、医師は大抵の問題に対処できる。逆に危ないのは、原因が分からず先行きが見通せない、自分の裁量では解決できない問題に直面したときともいえるだろう。

 自分自身でメンタルを良い状態に保つには、医師ならではのこうした習性を踏まえ、自身の状態とストレスの性状を把握することが欠かせない。問題が見えれば、対処法を考える能力が高いのは医師の強みなのだから。

若手と指導医、不安はお互い様
 若手医師・研修医にとってどんなことがストレスになるのか─。下図は医学部卒業後、研修医になって最初にぶつかるストレスの一覧だ。

初期研修医に掛かるストレス

 医学部卒業後、ようやくスタートした初期研修。当然ながら先輩医師や看護師には新人として扱われるが、患者からは一人前の医師として頼られる。「より良い治療を提供したいと思うのに、患者と接するほど無力感を感じていた」と産業医科大学精神科の菅健太郎氏(高知医療再生機構メンタルヘルス相談室)は自らの研修医時代を振り返る。

 研修の一環で興味のない診療科を回ったり、希望する研修内容と指導体制とのギャップに悩むことも。さらには、1〜2カ月刻みで複数の診療科を回るため、そのたびに新しい人間関係を築くのも疲れる。緊張が続き、気付かぬうちにヘロヘロに。