世代間で医師像・キャリア観は大きく異なる

初期臨床研修必修化後世代◆Under35
【医師像】
●人それぞれに価値感
●専門性の追求、ワークライフバランス重視など、志向も多様
【キャリア観】
●進路を主体的に選択する「デザイン」重視
●専門医資格、学位、経験症例数など、明確な方向性を持つ
【卒後の進路】
●情報が多く、選択肢は膨大
●SNSの普及により、選ばなかった進路が見え、後悔する機会が多い
【キャリアの節目】
●初期研修、後期研修、後期研修後と早いうちから少なくとも3回

指導医世代◆Over35
【医師像】
●医師は「聖職」
●一生を懸ける価値がある職業だと考えている
【キャリア観】
●言われるがままやってみる「漂流(ドリフト)」思考
●医局人事に従う。石の上にも3年
【卒後の進路】
●選択肢は出身大か地元のほぼ2択
●卒前、卒後とも進路に関する情報は直接見聞きできる範囲内
【キャリアの節目】
●少ない場合は卒後1 回のみ

 上図のように比べてみれば、違いは明らかだろう。まず、指導医世代は医師を「聖職」と捉える傾向が強い。キャリアの大きな節目は医学部卒業時の1回のみ。若い頃にSNSなどはないから、他の医師がどんな研修を受けたかなどは知る由もない。入局後は上司に言われるがまま仕事をするのが当たり前だった。

 一方、U35世代は、専門性を追求する人や、仕事よりも趣味や家族との時間を大切にしたいと考える人など、キャリア観は多様。多くの臨床研修病院の研修プログラムを吟味して自ら進路を選択。キャリアの節目は、初期研修、後期研修、後期研修後と早いうちから次々と訪れる。自分で進路を選ぶ機会が多い分、後悔も増える。SNSの普及によって同世代の医師の選択が見えて、自分の選択は正しかったのか?という疑念もメンタルを蝕んでいく─。

 「現在の若手医師は周りとの比較や短期的な成長実感を得ることに躍起になり、より良い仕事環境を求めてキャリアをデザインすることを偏重しがち」と鈴木氏。その結果、いつまでも理想の職場を追い求め、「今の仕事や職場に適応する努力をせずに、どんよりとした表情で働く医師も珍しくない」。

 大切なのは、キャリアをデザインしつつ、時には上司に言われるがままやってみる柔軟性だ。「将来」を考えてのキャリアデザインももちろん大事だが、「今」の環境に向き合い、場合によっては上司に言われるがまま「流されてみる」ことが大切な時期もある。「まずは仕事や職場に対する姿勢を見直し、組織に貢献しようと努力すること」。一見、ストレスが増えそうな手順が、ストレスを減らすことにつながる場合もある。こうした考え方は、キャリアデザインにもしなやかさをもたらすだろう。

「医師のメンタルヘルスに関するアンケート」の概要
日経メディカルOnlineの医師会員を対象に実施。期間は2015年3月11〜22日。医師2884人の回答を集計した。2885人の年齢の内訳は、20歳代94人、30歳代571人、40歳代883人、50歳代1028人、60歳代277人、70歳以上32人。