5人に1人。これは晴れて初期研修をスタートして3カ月たった後、抑うつ症状を来す研修医の頻度だ。ひと昔前に比べると改善傾向にあるといわれる医師の職場環境。だが、ストレスに押し潰される若手医師が少なからずいることはいつの時代も変わらない。医師人生の入り口でつまずかないために、ストレスをうまく受け流す秘訣を紹介する。


Q1 医師になってから抑うつ、うつ病症状を経験したことはある?
日経メディカルOnlineの医師会員を対象にした「医師のメンタルヘルス」に関するアンケートの結果。「医師になってから、抑うつ、うつ病症状を経験したことはありますか」と聞いた質問では37.1%(1071人)の医師が「ある」と回答していた。

 研修医の5人に1人が初期臨床研修開始3カ月後に抑うつ状態になっている─。これは2011年に250施設を対象に実施された「卒後初期研修における研修医のストレスに関する多施設研究」(文部科学省科学研究費基盤研究)の結果だ。

 なぜ若手医師がメンタルに不調を来すのか。それには「仕事や職場環境との向き合い方や、どの職場にも多少なりとも存在する不合理に自分をうまく擦り合わせていく力の有無が大きく関わっている」と豊後荘病院(茨城県石岡市)精神科の鈴木瞬氏(SNC産業医事務所代表)は指摘する。

 鈴木氏によると、医師は何か問題が起きたときに、鑑別診断をするかのように課題を探し、知識や技術を使って解決しようとする傾向が強い。こうした合理的アプローチでうまく解決できる課題はもちろんあるが、医局のしきたりや理不尽な上司への対応など、自分自身の努力では解決できない課題も医師人生には立ちはだかる。こうした問題にも合理的に対処しようとすると、努力が空回りしてストレスは増えてゆく。

Q2 上司、同僚、後輩など、同じ職場の医師の抑うつ、うつ病症状に気付いたことはある?
「同じ職場の医師の抑うつ、うつ病症状に気付いたことはありますか」という質問には46.0%(2884人中1328人)もの医師が「ある」と回答。20歳代では40.4%(94人中38人)、30歳代では46.4%(571人中265人)が「ある」と答えた。

 ストレスに潰されないために求められるのは、「周囲を見渡して自分にどんな強みがあり、どんな役割が求められているかを見極め、組織や人間関係に合わせて対応する『適応力』」と鈴木氏。軽視されがちなこのスキルがメンタルを守る盾となる。

 『今の職場、つらいなぁ……」「職場の雰囲気が合わないなぁ……」と感じているようなら、「3つの行動を意識するだけでも状況は変わる」と鈴木氏。その3つとは、(1)与えられること(Take)をただ待つのではなく、自ら率先して組織に貢献する(Give)、(2)組織内における自身の「強み」(若いということも十分な強み!)を生かして、組織に貢献する、(3)上司や同僚と本音でコミュニケーションする場を持つ――。「自分自身の意識と行動を少し変えるだけで、環境に変化が生まれる。その変化が自身のストレスケアにもつながっていく」と鈴木氏は言う。

節目が増えれば後悔も増える
 医師ならではの特徴に加え、今の35歳以下の世代(U35世代)には特有のストレスも生じやすい。その要因は、指導医世代とU35世代との間にある仕事への考え方やキャリア観のギャップだ。「世代間で医師像やキャリア観がそもそも違うと知っておくだけでも気が楽になる」と鈴木氏。