福岡大太朗
Hirotarou Fukuoka
桜花クリニック院長●1991年昭和大学卒。大手美容外科勤務の後、98年横浜みなとクリニック美容外科開設。2012年より現職。

 「近年、内科系の先生方が行った自主研究において、臨床成績は出ていても倫理審査委員会IRB)を通っていないが故に、国内の学会誌に掲載されないケースが出てきました。これでは、現場の先生方のモチベーションが下がってしまうと感じたのです」。そう語るのは神奈川県医師会理事の羽鳥裕氏だ。

 そこで神奈川県医師会は2009年に倫理審査特別委員会を設置し、臨床研究の審査を開始した。IRBは申請があった月に開催され、申請費用は5万円。医師会の理事や弁護士、消費者団体など8人程度の委員で構成される。

 これまでに審査したのは11件(表2)。桜花クリニック院長の福岡大太朗氏も昨年、「プラズマクラスターの育毛効果に関わる研究」で審査を受けた。当初はツテのある大学のIRBへの申請を考えたが、審査が長引く可能性があるほか、費用も最高で数百万円を見積もる必要があり、ハードルが高くて諦めかけたという。そんなとき、神奈川県医師会がIRBを設置したことを知った。

神奈川県医師会理事で、倫理審査特別委員会立ち上げの中心となった、はとりクリニック院長の羽鳥裕氏。「地域の医師会の会員が気軽に申請できるようなIRBが必要だと考えました」と話す。

 「開業医だからこそ、診られる患者さんがいて初めてできる研究があります。医師会がIRBを設置してくれたおかげで、患者さんの協力を最大限に生かせました」

 審査の経験は、福岡氏にとって大きな収穫となった。「医師会のIRBでは患者さんが不利益を被らないよう、細部まで質問されました。想像以上に厳しいもので、臨床研究に携わる姿勢を見直す貴重な機会になりましたね」と福岡氏は振り返る。

 今や臨床研究は、大学や大病院だけのものではなくなりつつある。

神奈川県医師会
会長:大久保吉修氏
会員数:8365人
(うち勤務医3103人、2012年4月1日時点)
注)医師会の勤務医会員数は、便宜上、B会員とC会員の合計人数を掲載した

編集部から:
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