医師会の医師賠償責任保険(医賠責)に加入する利点は、訴訟の際に保険金が下りて金銭面の不安がなくなることだけではない。「一般の保険会社でも医賠責を扱っていますが、示談交渉や弁護士の選任は個人で行う必要があります。その点、医師会には専門のスタッフや顧問弁護士もいるので、先生方の手間は少なくて済みます」(土井氏)。例えば、会員約4000人の鹿児島県医師会では、毎年20 件以上の医事紛争の相談を受けているという。

 また、日医の医賠責の場合、損害賠償金が100万円以下は免責となるが、都道府県医師会がその部分について別の保険を用意している例もある。鹿児島県医師会もその一つだ。

 「最近は、病院ではなく勤務医個人が名指しで訴えられるケースが増えているようです。勤務医でも医賠責が必要な時代になっているのではないでしょうか」と土井氏は話す。

 ほかにも、医師会の関連の信用組合や協同組合があれば、それらを通じて、低利でお金を借りたり、医学書などを安く購入できる利点もある。

 もっとも、こうしたメリットは無償で享受できるわけではない。郡市区医師会に加入すると、都道府県医師会、日本医師会にまで入ることになる。医賠責も加入すると、会費が安い勤務医でも、年間約10万円の会費を支払う必要があるのだ。

 Vol.2からは、各地の医師会が独自に行っている事業を紹介する。若手のキャリア支援につながるその内容は実に様々で、紹介したのはごく一部。会費を払って入会する価値があるかどうかは、近くの医師会の活動を見て判断してほしい。

INTERVIEW
医師会に現実的なメリットを感じて入会しました
永田青海
Ohmi Nagata
鹿児島大学精神機能病学分野●2000年広島大教育学部卒。2009年鹿児島大医学部卒。鹿児島大で初期研修後、2012年より現職。
 私は研修医になると同時に、医師会に入会しました。鹿児島県医師会では2010年度から、鹿児島大学で初期研修を行う医師を対象に、「医師不足対策基金」として月5万円の生活費補助を行っています。大学病院は相対的に給与が低いですから、極めて魅力的な制度でした。大学で研修した同期のほとんどは、この奨学金を受け取っていたはずです。
 もっとも、奨学金がなくても医師会には入っていたと思います。理由は、まず低利融資を受けられるメリットがあること。初期研修が終わったのを機に車を買ったのですが、一般の金融機関より低い金利ですぐに借りられました。また、医師会の医賠責などの保険に加入すれば、勤務先が変わるたび、いちいち手続きの必要がないのも魅力でした。人脈も大きなメリットですね。鹿児島県医師会には民医連や徳洲会など様々な組織・グループの医師がいますから、情報交換を通じて視野が広がりました。