医師が心に刻んでいる「大切な言葉」。NMO医師会員791人に聞いたところ、ミスを防ぐ実用的なものから、やる気になるもの、医師としての自分を律するものまで、バリエーション豊かな「言葉」が集まった。


肝に銘じている言葉
所見は画像の端にある。
 仕事を始めた頃、先輩に言われた。画像診断医は隅から隅まで見ることが重要。頭部外傷のCTで頸椎に所見があったり、腹部CTで肺底部に所見があったり、日々、該当するケース多数。(52歳男性、放射線科)
First,do no harm.
 「医療が医療の体をなしていない時代」に、医療者倫理について、これほど長い間説得力を失わない言葉が生まれたという事実に驚く。(44歳男性、精神科)
自分が慌てれば周りのスタッフも慌てる。
 救急の指導医がふと口にした言葉です。何事にも落ち着いているように見えた指導医も、実はプレッシャーを感じているんだとわかり安心しました。それ以来自分も、救急や急変に対処するときには、平静を装って行動することができるように(たぶん)なりました。(32歳男性)
一期一会
 特に救急医療の現場では必要なこと、「真髄」と思っています。(46歳男性、内科)
より安全に誤診せよ!
 実地医学ではまだまだ不明なことの方が多く、常に最良の答えが導き出されるとは限らない。診断を誤ることはあり得るが、判断の分岐点では必ず、選択の結果が「取り返しのつく側へ間違う」ようにすれば、致命的なミスを恐れずに済む。(53歳男性、泌尿器科)
すべては患者から学べ。
 研修医になりたての頃にオーベンから言われた言葉。あたり前ですが、いつもこの言葉を思い出し、患者さんのところへこまめに足を運ぶようにしている。(30歳男性、産婦人科)
それは本当に患者に必要か?患者の治癒の邪魔をしてはいけない。
 ジュニアレジデントのころ、チーフレジデントによく問いかけられていたこと。余計な検査や治療は患者の治療経過を悪くすることすらある。無駄な検査や治療を行わないことは大切で、治療方針に誤りがなければ患者は自然と良くなっていくことを実感できた。(48歳男性、外科)
標本の向こうに患者さんがいる。
 直接患者さんと接することが少ないため、仕事(病理診断)がどうしても他人事のように感じられます。そんなとき、教授に言われたのがこの言葉。直接知ることがない患者さんだからこそ、丁寧に標本をみて、正確な診断をしようと思いました。(32歳女性、病理診断科)
どちらかと迷ったら、しんどい方を選べ。
 研修医の時代にオーベンから教えられたフレーズです。重症患者を前にしたときはもちろん、夜間・休日呼び出しや家族からの説明要求など、いかなるときも、迷ったらできるだけ応じて、検査や治療や面談をする。しんどいことを選んだ方が結局は安心できます。(47歳男性、内科)
一生に一度しか使わない知識でも、患者の人生を決定的に変えることがある。
 研修医時代、指導医に「この知識は一生使わないかも知れないですね」と言ったところ、こう諭され、一生懸命勉強しなければという気持ちになった。今でも「こんなこと役立つわけがない」という気持ちになったときに戒めの言葉としている。(35歳女性、内科)