日本プライマリ・ケア連合学会が3月14日に発足した東日本大震災支援プロジェクト「PCAT」には、医療専門職のほか、医学生も多数参加した。支援に携わった学生3人に、被災地でのボランティア活動の内容や感想、さらに将来のキャリアについて語ってもらった。

(聞き手:村松謙一、石垣恒一)

小澤廣記 さん
Hiroki Ozawa
東京大学医学部6年生
大分県出身

─参加した経緯や活動内容は?

小澤 日本プライマリ・ケア連合学会の学生向けメーリングリストに登録していたので、ボランティア募集の案内が送られてきたんです。「学生の自分にもできることがあるはず」との思いで、参加を決めました。

 ゴールデンウイークに宮城県石巻市で、岡野さん、鷺坂君と一緒に活動しましたが、僕にとっては2度目の支援活動の体験でした。学生は計6人。僕がリーダー役だったのかな…。

 PCATの活動内容は、避難所の診療支援やご自宅にいる方への訪問診療などですが、その機能を充実させるためのお手伝いや、活動を対外的に伝えるための現地取材が僕たちの主な役割でした。

岡野 私が参加したいと思ったのは、震災の様子をテレビで見ていて何もできないことが苦しかったからです。部活が山岳部なので、行くと決めたら、すぐ頭の中で計画を立てて、食べ物と水を用意して翌日には出発できるんです。今回も即断即決でした。被災地では、避難所の多くの方々から色々な話を聞いて、少しでもお役に立てることがあればお手伝いさせていただきました。

岡野 恵 さん
Megumi Okano
順天堂大学医学部5年生
神奈川県出身

鷺坂 先生方は被災者の診療で忙しいので、僕は診療をサポートできるものは何かと考え、得意のIT分野のスキルを生かそうと思いました。幸い、電気やネットは復旧していたので。早速取り組んだのが、福祉避難所の入所者を医療機関に紹介する際に使う診療情報提供書のフォーム作りです。既存のソフトをベースにして、入所者に発行したIDで情報を管理できるようにしました。かなり役に立てたと思っています。

─印象に残ったことは?

小澤 津波に流された後の街の光景が、強く目に焼き付きました。がれきの山にピンクの棒が立ててあったのですが、遺体を回収したサインと知って驚きました。被災者の話を聞き、頭の中で自分が見た光景とつなぎ合わせた上で、PCATの活動を振り返ると、支援に従事した意義がよく理解できました。医学部の教育はトップダウン式なので、自分たち学生だけで頭を使って行動したのは貴重な経験でした。

鷺坂 避難所で働いていた医療従事者の方々も被災者なんだと思うと、複雑でした。将来、首都圏で大地震が起きれば、自分だって被災者になる可能性がありますが、彼らのように頑張れるのだろうかと…。

─今後の進路について考えることはありましたか?

小澤 6年生なので医師国家試験に合格することが当面の目標ですが、その後は市中病院で初期研修を受け、小児科に進みたいです。被災地の支援を経験したことで、救急やプライマリケアなどにも対応できるようになりたいと思いました。