奈良県から派遣された医療救護班のメンバーとして、被災地の仮設診療所で活動したが、被災者とどう接すればよいか不安があった。
 事前に心的外傷後ストレス障害(PTSD)の文献を探したが、結局、一番参考になったのは、参加メンバーの先生から紹介していただいたパトリシア・アンダーウッド教授の文献。被災者が「自分だけ助かってしまった…」と感じる「サバイバー・ギルト」という心理反応について解説したものだ。
 文献に目を通した上で、避難所内での感染症の発生を想定し、インフルエンザやノロウイルスなどの予防法、対応法を勉強。満を持して現地で医療支援に臨んだ。
 普段は専門科以外の疾患を治療することは少ないが、被災者の総合的なニーズに対応できるよう文献を調べたり、他の医療従事者から意見を聞いたりしたことは貴重な経験となった。
(30歳代・男性、整形外科、奈良県)
 避難所で暮らす子持ちの母親のために、「キッズルーム」を仮設の診療所内に作った。気軽に立ち寄っていただき、子どもが遊んでいる間だけでも、母親たちに健康上の悩みなどを打ち明けてもらい、体調のチェックや診療につなげられればと考えた。医療職のスキルは、やはり困っている人のために使うべき
(40歳代・男性、内科、奈良県)
 医療支援で被災地を訪れたときのこと。被災者が避難所であれ半壊した自宅であれ、現地にいなければ、仮設住宅や支援金給付の申請に関する情報が入ってこないことに疑問を持った。これでは被災者がいつまでも劣悪な環境にとどまらざるを得ないのでは?支援情報を広域に継続して流すメディアがあれば、被災者が現地にいなくても情報を入手できるので、被災地を離れて体力や気力を回復できたのに…。
 自分は被災病院の外来患者のメーリングリストを作成し、メルマガで診療情報などを発信した。だが、震災から1カ月後では少し遅かった気もする。
(40歳代・男性、産科、神奈川県)
 民間の組織で患者搬送、巡回診療などに従事した。DMATや自治体が派遣した支援団体の場合、資金面での公的援助が充実しているが、民間の組織は同等の活動をしても、基本的に手弁当で不満が残った。本来ならば国や自治体が責任を持って行うべきなので、それなりの活動をしている民間にも多額の資金援助があっていいはずだ
 被災地の公衆衛生についても、自治体は無責任すぎる。本来これも自治体が行う対策であるにもかかわらず、感染症の拡大の恐れがあったケースでも全く動かず、支援団体に任せきり。あまりのひどさに腹立たしかった。
(30歳代・男性、外科、静岡県)
 3月下旬に被災地に入り、主に避難所の巡回診療に従事。だが、自分が担当していた避難所は衛生環境が劣悪で、胃腸炎の感染が拡大してしまった。
 1人が発症するとまず家族に感染し、他の被災者にも次々と感染。整腸剤、吐き気止め、下痢止め、経口水分補給剤を処方したが、水道が復旧しておらず、また仮設トイレの汚れがひどかったこともあり、まん延が防げなかった。避難所に一日中いたとき、昼ご飯を現場で食べたのがよくなかったのか、とうとう自分も感染。翌日から腹痛と吐き気に悩まされた。手指のアルコール消毒はきちんと行っていたのに、よほど強いウイルスに感染したのだろうか…。
 幸い、発症した日に東京へ帰れたが、2、3日は何も食べる気にはなれず、整腸剤を飲んで休んだ。今振り返ると大変だったが、今後もし同じような大災害が起きれば、再び支援に従事したいと思う。
(20歳代・男性、外科、東京都)
 DMATのメンバーとして、救命、巡回診療に従事。当初から物資は豊富だったが、情報網が分断されていたのが問題だった。通信衛星を使った携帯電話をこちらが持っていても、巡回先の患者には通信手段がなく、診療を行えることすら伝えられなかった。災害時には情報網の復旧がもっと優先されるべきだと感じた。
(30歳代・男性、救急科、東京都)

調査概要
調査の概要日経メディカル オンラインの医師会員を対象に、webアンケートを実施。期間は2011年5月9日〜13日。有効回答数は662人。●性別:男性:586人/女性:76人●年齢:25歳以下:5人/26〜30歳:68人/31〜35歳:103人/36〜40歳:107人/41〜45歳:110人/46〜50歳:99人/51〜55歳:106人/56〜60歳:38人/61〜70歳:20人/71歳以上:3人/不明:3人●所属:大学病院:103人/国公立病院:110人/公的病院(日赤、厚生連、済生会など):87人/私立病院:188人/その他の病院:21人/診療所:131人/その他(研究施設、行政機関、企業など):22人●専門科目:内科:346人/外科:71人/精神科:34人/アレルギー科:7人/リウマチ科:6人/小児科:49人/皮膚科:23人/泌尿器科:12人/産婦人科:24人/眼科:12人/耳鼻咽喉科:9人/リハビリテーション科:17人/放射線科:19人/病理診断科:5人/臨床検査科:1人/救急科:19人/麻酔科:29人/その他:78人/不明:4人