臨床留学を目指すと決めたら、まずは行き先選びだ。「医療資源の豊富さや研修の質の高さを考えれば、英語圏の中でも圧倒的に米国がお薦め」と、亀田総合病院腫瘍内科部長の大山優氏は言う。

 だが、米国臨床留学の道のりは容易ではない。言葉の面でのハンディキャップを抱えながら、現地の医学部卒業生と同じ土俵で厳しい競争を勝ち抜かなければならないからだ。

 外国人が米国でレジデントになるためには、まず、米国医師国家試験(USMLE)にステップ2まで合格し、臨床研修資格(ECFMG Certificate)を取らなければならない。難易度は高く、「半年から9カ月くらいは死にものぐるいで勉強する覚悟が必要」と大山氏。TOEFLの点数などの明確な基準はないが、模擬患者を診察する実技試験があり、実臨床での英語のコミュニケーション能力を求められる。

 「ステップ2には実際に臨床を経験していないと分かりにくい問題もあり、医学生には不利かもしれません。かといって、研修医になってからでは勉強時間の制約がある。悩みどころですね」(米国ベスイスラエル病院に留学経験のある清山知憲氏)。下手にギリギリの点数で合格すると、マッチングで不利になるので、万全の準備で臨みたいところだ。

誰に推薦状を書いてもらう?
 無事、ECFMG Certificateを手にしたら、次はレジデンシー・プログラムへの応募だ。英文の履歴書(CV)などに加え、必要となるのが推薦状。「欧米諸国の多くは、信頼できる人が推薦する人物なら信頼するし、そうでなければ、信頼しない。誰に推薦状を書いてもらうかは非常に重要」と、名古屋ハートセンター副院長の米田正始氏は言う。「一般に、日本人医師の推薦状は『評価が甘い』と考えられがち」(慶應大医学教育統轄センターの門川氏)なため、在日米国海軍病院を研修先に選んだり、短期留学やエクスターン研修などに参加して、コネを作る医師も多い。

 書類選考を通ると、実際に米国で面接を受け、その感触を踏まえてマッチングを申し込む。この結果、希望した病院とうまくマッチしなければ、いくらUSMLEの点数が高くても留学がかなわないこともある。こればかりは、運任せというわけだ。