結果に再現性はあるか?

 次は偶然による誤差(ぶれ)の検討ね。論文に出てくる「p値」とか「95%信頼区間(confi dencei nterval :CI)」という数字に注目するの。p値は「偶然2つのグループに差が生じた可能性」を示しているわ。95%信頼区間は、「仮にその試験を100回繰り返したら、95回はそこに結果が収まるという範囲」ね。p値が小さいほど、信頼区間が狭いほど、再現性が高いの。

 この論文ではp=0.01だから、「2つのグループの結果に差があった」と考えていいんですよね。

 そう。「有意差」というんだけど、通常、p値が0.05未満の場合を「有意差あり」としているわ。つまりその差は偶然によるものではない、という意味ね。でも有意差があるからといって、臨床的に意義があるとは限らない。これはよく覚えておいてね。
 さて冠動脈疾患の発症率がどうなったかだけど、プラバスタチン併用群の1.7%を、食事療法単独群の2.5%で割ると3分の2ぐらい。でも引き算すると0.8ポイント。これをどう思う?

 ・・・分かりません。

 100人の患者に投薬したら、プラバスタチンで冠動脈疾患を回避できる人は0.8人、つまり1人に満たないということよ。

 もっと多くの人に効果があるなら、薬嫌いの父にも自信を持って薬を勧められるのに。

 そうよねえ。日本人でのコレステロール低下薬の効果については、こんなのもあるわよ。今日の論文「その2」ね。

 シンバスタチンを投与したら、総コレステロールとLDL-C、中性脂肪(トリグリセリド)がそれぞれ18.4%、26.8%、16.1%下がったとありますよ。こっちの方がよく効くんですね!

 慌てない、慌てない。まずはPICOからでしょ。

 そうでした。ええと、P(患者)は日本人の高コレステロール血症患者47294人で、I(治療/介入)はシンバスタチンを1日5〜10mg投与。で、O(臨床結果)はコレステロール値が大きく下がった。…あれ?C(比較対照)はどこだろう。

 やっと気付いたか。そうなのよ。この論文には残念ながら比較対照群がないの。コレステロールは下がってるけど、批判的に読めば、投薬しない場合については不明なので、本当にシンバスタチン投与の効果なのかどうか判断できないということになる。

 ええっ、ひどい。せっかく読んだのに〜。

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