夕暮れどきの内科医局に、熱血指導医B先生が論文を抱えてやってきました。ターゲットは研修医1年目のA先生。「ただでさえ余裕がないのに論文を読むなんて無理〜」とちょっと逃げ腰です。


Illustration:Jiro Tara

指導医(以下、指) A先生、お疲れ♪

研修医(以下、研) あっ、B先生。お疲れ様です。

 お父様がメタボ健診でひっかかったって言ってたよね?ちょうどぴったりの論文があったから持ってきてあげたわよ。

 あ・・・ありがとうございます。今朝も母が心配して電話してきたんですよ。総コレステロールが270(mg/dL)あったそうです。

 270か。ちょっと高いね。LDLコレステロール(LDL-C)は?

 190だそうです。自覚症状はないし、病気らしい病気もしたことがないので、本人は全く治療する気がなくて。せめて140ぐらいに下がれば安心できるんですけど。

 何で140?

 だってガイドラインにそうありましたよ。

 なるほどね。でもガイドラインだけを鵜呑みにするのはどうかしら。早速この論文を読んでみましょう!

 せっかくなんですけど、もうすぐカンファレンスが始まるので・・・。

 大丈夫!1本5分もあれば目を通せるから、3本はいけるわね。

 ひええっ。

要約部だけ読めば十分

 じゃあ今日の論文「その1」ね。少し前に日本で実施された大規模臨床試験よ(次ページ参照)。ところでA先生、論文1本読むのにどのぐらい時間かかる?

 長さや内容にもよるけど、全部読むのに1時間ぐらいはかかってる気がします・・・。

 あら、全部読まなくてもいいのに。要約部だけで論文のツボは分かるのよ。

 まずは臨床上の疑問を把握するの。どんな「患者(Pati ent)」に、どんな「治療/介入(Intervention)」をしたら、「比較対照(Comparison)」に比べてどんな「臨床結果(Outcome)」が出たのか。この4つの要素を抜き出すの。これらは英語の頭文字をとって「PICO(ピコ)」とも呼ばれているわ(下図)。

 じゃあA先生、早速このマーカーで4つの要素を抜き出してみて。